関西テレビの大多亮社長は2025年4月4日、同日開かれた臨時取締役会で社長を辞任した。関西テレビの番組「旬感LIVE とれたてっ!」(月~金 13時50分~15時45分)では、全編で大多社長に関するニュースを扱い、14時25分から15時27分までの約1時間はCMなしで囲み取材の模様を報じた。
同番組には社会学者の古市憲寿氏、お笑い芸人の小籔千豊氏が出演。元タレント・中居正広氏とフジテレビの一連の問題についてコメントした。
古市氏「WHOのすごい広い定義を引いてきて」
古市氏は、フジテレビ問題についての第三者委員会の報告書にある「性暴力の定義」について、
「WHO(世界保健機関)のすごい広い定義を引いてきていて、上司が部下を飲みに誘うことも性暴力かもしれない。あらゆることが性暴力になっちゃう」
と主張。「これを日本社会、少なくともエンターテインメントの常識にしてしまった場合に果たしてどうなるのかを真剣に考えた方がいい」と続けた。
フジ第三者委の報告書では、WHOが公表している「World Report on Violence and Health」の内容を記載。「性暴力(Sexual Violence)」の定義について、「強制力を用いたあらゆる性的な行為、性的な行為を求める試み、望まない性的な発言や誘い、売春、その他個人の性に向けられた行為をいい、被害者との関係性を問わず、 家庭や職場を含むあらゆる環境で起こり得るものである。また、この定義における『強制力』とは、有形力に限らず、心理的な威圧、ゆすり、その他脅しが含まれるもので、 その強制力の程度は問題とならない」としている。第三者委では、女性に対する中居氏の性暴力を認定している。
大多社長の囲み取材を見た古市氏は、「視聴者も何かの違和感を感じている人も多いと思う。第三者委員会で書いていないことがあると思う。一方で、小籔(千豊)さんや僕が独自で知っている話もある。そのギャップがどうしてもあると思うんです」と述べた。さらに、
「中居さん自身で何らか発表してもらわないと、違和感は埋まらないと思うんですね。そこを聞きたいという思いはあります」
と続けた。
報告書で守秘義務の解除に被害女性が同意したことに触れ、「中居さんの言える環境はそろっていると思うので、ご自身の言葉で述べた方がフェアじゃないか」と、中居氏による説明を求めた。
中居氏側は、第三者委の調査で守秘義務の範囲に関して回答を拒んだとされている。
小籔氏「『こっちが嫌ならもうアウト』みたいになってる」
お笑い芸人の小籔千豊氏は、不同意性交等罪など性犯罪に対する法律が変わってきた社会情勢に触れ、「女子に対する法律が変わったりして、『こっちが嫌ならもうアウト』みたいになってる。『これでかまへん、これでいくんや』と、すごい時代が動いてる瞬間な気がします」と語った。
そして「企業のトップの方々はコンプライアンスのプロではないと頭において、問題起こったときは話を聞いてすぐに弁護士さんに相談する。これからの時代は弁護士さんが勝ち上がっていく時代になるなと。みんなが素人ばっかりですからね」と、弁護士の需要が増えるのではと予想した。
辞任した大多社長は、フジテレビの元女性アナウンサーが中居正広氏から性暴力の被害を受けていた当時、フジテレビの専務として対応に当たっていた。第三者委員会の報告書では「港社長と大多専務という CX (フジテレビジョン)の経営中枢を担う取締役 2 名が、極めて『思慮の浅い』経営判断の誤りを犯した」と厳しく対応を批判されていた。
囲み取材では、大多社長から冒頭「第三者委員会の調査報告書で当時の私の対応について厳しい指摘を受けました。その指摘を真摯に受け止め、私としてはこれ以上、社長の職を続けることは不適切と考えた」と述べ、女性に対しては「心情に寄り添うことができず、彼女を苦しめてしまったことは本当にお詫びしたい」と話した。