鹿児島県警「不祥事のオンパレード」となった2年間 警察官の盗撮、不同意わいせつ、薬物にストーカー

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   市民の安全と治安を守る警察官。その信頼を揺るがす不祥事が、鹿児島県警で相次いでいる。この2年ほどで、県警の警察官たちによる信じがたい不祥事が、次々と明るみとなっているのだ。

  • 警察官たちによる信じがたい不祥事が、次々と明るみに
    警察官たちによる信じがたい不祥事が、次々と明るみに
  • SNSでも情報発信している(鹿児島県警のインスタグラムより)
    SNSでも情報発信している(鹿児島県警のインスタグラムより)
警察官たちによる信じがたい不祥事が、次々と明るみに
  • 警察官たちによる信じがたい不祥事が、次々と明るみに
  • SNSでも情報発信している(鹿児島県警のインスタグラムより)

強制性交容疑で県警本部の巡査長逮捕の事案も

   2023年3月、鹿児島中央署の巡査が薬物を譲り受けた疑いで、麻薬特例法違反容疑で逮捕された(以下、階級・役職などはすべて当時のもの)。同年5月には、姶良署交通課の巡査部長が交通事故40件の捜査書類を偽造したことが判明、停職処分となった。

   10月には13歳未満の少女と性交した強制性交容疑で県警本部の巡査長を逮捕(懲戒免職)。24年4月には県警本部公安課課長補佐の警部が、不同意わいせつの疑いで逮捕され、停職6か月の処分を受けた。

   24年5月には枕崎署の巡査部長が逮捕され、約4年間で80回以上の盗撮を行ったことが判明、停職3か月の処分を受けている。巡査部長は依願退職、同年9月に有罪判決を受けた。また、のちに県警内部の連絡ミスで一時捜査が中断、その間にも犯行が行われていたこともわかっている。

   また、23年2月、霧島署の巡査部長がクリーニング店の女性にストーカー行為をしたとして、同年10月に書類送検された。その後不起訴となり、巡査部長は口頭厳重注意となった。

   霧島署では別の巡査長によるストーカー行為も判明。巡回連絡簿を悪用しての行為だったが、被害女性が事件化を望まなかったとして立件はされず、刑事処分もなかった。

ウェブメディアの強制捜査から情報源を逮捕

   こうした異常事態を早い時点から追い続けていたのが、九州を拠点とするウェブメディア「HUNTER」だった。

   2023年10月にフリージャーナリストの小笠原淳氏が2回にわたって「鹿児島県警の闇」という記事を掲載したのを契機に、捜査書類の廃棄を促すかのような、県警内部向けの文書が掲載された。この情報提供をしたのは曽於署の巡査長だった。

   また、2024年3月に退職したばかりの県警前生活安全部長が、小笠原氏に向け「闇をあばいてください」から始まる文書を匿名で送付した。そこには前出の枕崎署員による盗撮事件、および霧島署員の巡回簿悪用のストーカー事案に対する組織的隠蔽などについて記載されていた。小笠原氏はこの文書をメールで「HUNTER」運営者の中願寺純則氏へ送信する。

   同年4月、曽於署巡査長が地方公務員法違反容疑で鹿児島県警に逮捕された。すると同日「HUNTER」の事務所に県警の捜査員が家宅捜索に入り、パソコンや携帯電話などを押収。このなかに入っていた文書から身柄を割り出された前生活安全部長が、翌月に逮捕されたのである。

   これら一連の事件は、民主主義を揺るがす問題だ。まずは警察官への信頼を揺るがす行為が、短期間に頻発していること。そして、もうひとつは憲法で保障されている「報道の自由」の侵害だ。

   県警は強制捜査で情報源を突き止めた。これについて、報道機関が事実をつまびらかにするため、情報源を萎縮させることなく情報提供を行ってもらう「取材源の秘匿」を蹂躙する行為ではないか、という批判が噴出している。

   権力の暴走ともとられかねない一連の行為について、県警側は適正な捜査であったことを主張している。

健全な組織化を踏みつぶしかねない「内部告発つぶし」

   そして最後の問題としては、「内部告発つぶし」である。今回のような捜査は、情報を提供しようとする人たちを萎縮させる「見せしめ」には十分だろう。健全な組織化に向けた芽を踏みつぶすことにもなりかねない。

   公益通報者保護法によれば、報道機関への内部通報はその内容に「真実相当性」があれば、公益通報にあたる。

   前生活安全部長の場合、逮捕後の鹿児島簡裁における勾留理由開示手続きの意見陳述で「県警本部長が県警職員の犯罪行為を隠蔽しようとしたことが許せなかった」と述べ、今後の裁判でも自身の通報が公益通報であることを主張するものと思われ、今後の成りゆきが注目される。

   鹿児島県警の騒動は、その後も続いている。

   県警本部長が交替した2024年11月には、県警本部警務部の巡査部長が、同年4月に16歳未満の少女に対する不同意性交をしたとして、懲戒免職となったことを発表。ただし、被害届が出ていないとして立件はされなかった。

   さらには今年2月、前生活安全部長の情報漏えい事件を担当していた警視が、女性に対する不同意性交の疑いで書類送検された。結果として不起訴となったが、その捜査の過程で、被害者と別の交際女性に対し、情報漏えい事件の情報を漏えいしていたことが発覚している。

   信頼が回復されるのは、いつの日か。

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