健全な組織化を踏みつぶしかねない「内部告発つぶし」
そして最後の問題としては、「内部告発つぶし」である。今回のような捜査は、情報を提供しようとする人たちを萎縮させる「見せしめ」には十分だろう。健全な組織化に向けた芽を踏みつぶすことにもなりかねない。
公益通報者保護法によれば、報道機関への内部通報はその内容に「真実相当性」があれば、公益通報にあたる。
前生活安全部長の場合、逮捕後の鹿児島簡裁における勾留理由開示手続きの意見陳述で「県警本部長が県警職員の犯罪行為を隠蔽しようとしたことが許せなかった」と述べ、今後の裁判でも自身の通報が公益通報であることを主張するものと思われ、今後の成りゆきが注目される。
鹿児島県警の騒動は、その後も続いている。
県警本部長が交替した2024年11月には、県警本部警務部の巡査部長が、同年4月に16歳未満の少女に対する不同意性交をしたとして、懲戒免職となったことを発表。ただし、被害届が出ていないとして立件はされなかった。
さらには今年2月、前生活安全部長の情報漏えい事件を担当していた警視が、女性に対する不同意性交の疑いで書類送検された。結果として不起訴となったが、その捜査の過程で、被害者と別の交際女性に対し、情報漏えい事件の情報を漏えいしていたことが発覚している。
信頼が回復されるのは、いつの日か。