お花見の歴史は古く、8代将軍・徳川吉宗は庶民の健全娯楽として桜の花見を奨励した。NHK大河ドラマ「べらぼう」の時代より少し前のことだ。ことしもお花見シーズンがやってきたが、楽しく春を楽しむために宴会などのルールやマナーが呼びかけられている。
上野公園は歩きながらのお花見を推奨
上野公園にある寛永寺には、桜の名所である吉野を模して桜の木が植樹された。江戸時代のお花見ガイドブック「江戸名所花暦」ですでに、「江戸一番の名所」と紹介されている。
ことしも大勢の人出が予想されるので、東京都は2025年3月14日に「お花見ルール」を発表した。都が呼びかけているのは「歩きながらのお花見」である。迷惑になるような場所取りは禁止され、売店でアルコール類は販売されない。
(園内の通行規制)
混雑緩和のため、さくら通りにおいてカラーコーン等で中央分離帯を設け、左側通行と する通行規制を実施します。
(園内の宴席)
さくら通り(側道を含む)では、昨年もご好評いただきました「歩きながらのお花見」を継続して実施するため、宴席はお控えください。
東京都武蔵野市にある井の頭公園の「井の頭池」は、歌川広重が「名所江戸百景」に描いた名勝だ。こちらも都が次のような「お花見に関するお願い」をかかげている。
・宴会等は22時まででお願いします。
・ゴミの放置はおやめください。
・焚火、コンロなどの火気の使用、高音での楽器演奏・歌唱、池に飛び込む行為などは禁止です。
・短時間、少人数でのお花見をお願いします。
目黒川の環境対策お願いは区長のYouTube配信
東京の目黒川沿いにはソメイヨシノなど約800本が並ぶ。桜の枝がアーチのように川面にかかって美しい。しかし、付近は生活道路であり、花見客の心無いふるまいに多くの苦情が出た。
そこで目黒区長は「私ども区役所は地域の商店街の皆さん、町会の皆さん、警察、そして鉄道の皆さんにご協力をいただき、毎年この時期に目黒川桜開花期間安全対策協議会を設置して、安全対策であったり、環境対策に取り組んでいます」とするビデオメッセージをYouTubeで配信している。
区長による「目黒川のお花見マナー3つのお願い」は以下のようなものだ。
・雑踏事故を防ぐため、一方通行への協力。橋の上などで立ち止まらない。
・静かな住宅街の環境を乱さないため、路上で飲酒をしない。大きな声で騒いだり、はしゃいだりしない。
・ごみを持ち帰る。ポイ捨て厳禁。屋台で購入した食品の容器は屋台が用意したごみ箱に捨てる。
江戸時代にも上野では、楽器を打ち鳴らしながら飲めや食えやの大騒ぎが問題になり、花見が禁止されたこともあったという。くれぐれも浮かれすぎに、ご注意を。
(ジャーナリスト 橋本聡)