「真摯に受け止めたい」――。2025年3月27日の定例記者会見で、斎藤元彦兵庫県知事はこの言葉を14回以上繰り返した。26日の記者会見では、第三者委員会の報告書で事実認定がされたパワハラについて「不快な思いや、負担に思った職員には、改めておわびと謝罪をしたい」と述べたものの、「これまでの県の対応に問題はなかった」と語っていた。
27日は、斎藤知事が元県民局長に対して「嘘八百」「公務員失格」などと発言してから1年。記者からは、「異なる考え方もある」とした報告書の認識や知事の処分について問う声が相次いだ。
「しっかりと襟を正す」自身の処分に正面から回答せず
記者からは、26日の記者会見で発言があった報告書の見解について質問が相次いだ。
報告書では、元県民局長への対応は公益通報者保護法に違反すると指摘されたが、斎藤知事は「公益通報の各種論点については第三者委員会の指摘は真摯に受け止めながら、一方で異なる考え方もある」とした上で、「県としては文書(問題)に関する対応は適切だった」と述べ、報告書で指摘のあった公益通報部分の違法性について否定的な考えを改めて示した。
また、報告書の見解を発表する際に、司法の専門家など「さまざまな方と相談させていただいた」としたものの、その議論の内容は「詳細は控えさせていただきたい」と話した。
斎藤知事は、報告書を受けた知事自身の処分について「しっかりと襟を正して研修などを受けながら、風通しのよい職場作りに向けて尽力していく。それが私の責任の果たし方だと考えている」などと繰り返し、正面からの回答はなかった。「今後、知事が県職員をパワハラ理由に処分する際に、整合性について説明できるのか」「県の懲戒処分指針で、パワハラ行為は停職、減給、訓告となっているが、なぜ知事自身に処分はないのか」との質問には、斎藤知事は「しっかりと襟を正す」と繰り返した。また、複数の記者から兵庫県職員がパワハラで処分されている事例があると問われると「懲戒処分は規定に基づいて手続きを進めていく」と述べた。