トランプ関税のブーメラン、急落する米国株の最悪シナリオと最良シナリオは/ニッセイ基礎研究所・前山裕亮さん解説

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最悪シナリオはスタグフレーション、中間シナリオでも景気の減速

――最後に、米国株式は今後どんな推移をたどると予想しますか。最良のシナリオのケースA、最悪のシナリオのケースB、中間のシナリオのケースCといった風にまとめていただけますか。

前山裕亮さん 最良のケースAは、物価上昇が落ち着き、米景気も堅調を維持していくパターンです。そのためにはトランプ政権が中間選挙(2026年)を意識して軟化し、足元の経済情勢も意識した舵取りとなる必要があるかもしれません。

そのような展開になっても、急速に元の水準に戻ることは考えにくいですが、企業業績の拡大に伴って1年、2年以内には再び最高値更新が狙える展開となるかもしれません。

その一方で、最悪のケースBは景気後退に陥ったにもかかわらず物価も上昇していくスタグフレーションの経済状態になることです。金融緩和できず、場合によっては利上げを行わないといけなくなった場合です。景気がどの程度まで落ち込むかにもよりますが、2024年初の水準だったS&P500が4700ポイントを下回ってもおかしくないと思います。

――中間のシナリオはどうなるのでしょうか。

前山裕亮さん 中間シナリオとしては、今後も景気減速とともに企業業績の下方修正が止まらず、またインフレ懸念から利下げペースも鈍化し、長期金利は高止まりしたままとなり、ズルズル株価の水準が切り下がっていく展開です。

いずれにしても、米国株式の下落は一服していますが、まだまだ不透明感が高く、油断できない展開が続きそうです。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)



【プロフィール】
前山 裕亮(まえやま・ゆうすけ)
ニッセイ基礎研究所金融研究部主任研究員。大和総研、大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)、イボットソン・アソシエイツ・ジャパンを経て、2014年ニッセイ基礎研究所入社。2022年より現職。株式市場や投資信託といった資産運用の調査、分析に従事。

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