トランプ関税のブーメラン、急落する米国株の最悪シナリオと最良シナリオは/ニッセイ基礎研究所・前山裕亮さん解説

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トランプ政権誕生の期待(予想)が高すぎた反動も

――なるほど。FRBは3月18~19日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でも2会合連続で金利を据え置きましたが、また、長期金利は上がるということでしょうか。そして、長期金利がさらに高止まりして、株価低落に拍車がかかるということでしょうか。

前山裕亮さん 長期金利については、政策金利の今後の動向も勘案して変動していきます。3月のFOMCでは利下げが実施されませんでしたが、これから2025年、2026年は利下げを行っていく方針は維持されました。3月のFOMCの内容は、ほぼ金融市場で事前に見込んでいた結果通りだったこともあり、長期金利、米国株式ともに良くも悪くも、あまり変動しませんでした。

ただ、今後の物価見通しなどが上方修正されていますので、これから見込まれている以上に利下げペースが鈍化すると、長期金利が上昇して米国株式の重しになる可能性があるため注意が必要だと言えそうです。

――3つ目の誤算として、「米国企業の業績が期待していたほど拡大していない」とあります。たしかに、S&P500と各セクターの2025年予想EPSの変化率のグラフなど見ると、下落傾向を示していますね。

足元で「情報技術」と「通信サービス」の業績拡大が鈍化していると指摘していますが、両者は米国経済および世界経済の牽引車です。米国で景気後退を起こっている可能性はないのでしょうか。

前山裕亮さん 単純にトランプ政権誕生の期待(予想)が高すぎた面が大きいかと......。期待されたほどは強くないので低下基調になっているといえますが、それでもまだ二桁増益予想です。現時点では米国景気が減速してきている様子ですが、後退に陥っている可能性は低いと思われます。

株価をみても、S&P500は史上最高値と比べると、一時10%程度下落しましたが、昨年(2024年)7月と同水準にとどまっており、2024年初と比べるとまだまだ高水準にあります。

ただ、トランプ政権の政策によって不透明感が増しており、この不透明感に委縮して企業、個人ともに積極的な経済活動を控えるようなことになると、景気後退まで陥る展開もあるでしょう。
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