筆者は長年のiPhone SEユーザーだった。初代SEに続いて、5年の長きに渡りSE2を使い続けた後は16eに買い換えた。
筆者にとって16eが初めての「ホームボタンのないiPhone」となったことには驚きであり、楽しみだった。
SE派が16eに機種変更する際、通過儀礼として最初につまづくのが「ホームボタンで行っていた操作をどうするか」という点ではないか。
「ホームボタン絶対必要派」はまだまだ存在するが、それでもAppleの新製品ラインアップからはホームボタン搭載機が消えてしまった。
ということは、SE派は1から顔認証機能の「Face ID」を学ばなければならず、それゆえにホームボタンを使う指紋認証機能の「Touch ID」の使い勝手には懐郷(?)の念をしばしば感じてしまうことがあるはずだ。
タッチ決済までの必要動作はどう変わったか
16eを使った筆者はまず、ウォレットに紐付けのクレジットカードを使う際の「ダブルクリック」に悩んだ。
ダブルクリックと言われても、どこをクリックすればいいのだ?
これは本体右側面についているサイドボタンの2回押しを指す。ウォレットアプリから決済に使うカードを選択し、インカメラをこちらに向けてFace ID認証を実行し、非接触型カードリーダーにかざす......これ、Touch IDよりも必要動作が多いのでは!?
ホームボタンを搭載していたSE2なら、ウォレットからカードを選んだらあとは親指をホームボタンにあてがうだけでよかった。決済までに人間がやる挙動は、Touch IDのほうが少ないのではなかろうか......。
Face IDは「見た目のスマートさ」に欠ける?
もっとも、Face ID対応iPhoneでウォレットを使う場合は、ショートカット操作が用意されている。最初にサイドボタンをダブルクリックするという操作だ。
これを実行すれば、その時の画面が何を表示していようと、たとえスリープ状態だろうと、いきなりウォレットのメインカードの画面に移行することができる。そして、その瞬間からFace IDによる認証が行われる。
とはいえ、ホームボタン搭載のSEシリーズにもこのようなショートカット操作があった。
ロック画面からホームボタンをダブルクリックすれば、ウォレットのメインカードを即座に立ち上げることができる。そして、指紋認証はその最中に行われる。
ようするに、親指でホームボタンに触れてさえいれば、インカメラに顔を向けなくともウォレットの認証をパスできたのだ。
というわけで、筆者としては、Face IDのサイドボタンをダブルクリックは「見た目のスマートさ」に欠けるのではと首を捻っている。
ホームボタンがあることの「分かりやすさ」
ホームボタンがあるということには、なんといっても「分かりやすさ」があった。
ブラウジングの際やアプリを操作している際、何かしらの理由でそれを中断したければとりあえずホームボタンを押す。
また、ホームボタンの堂々とした存在感は「Touch IDはここに内蔵されている」ということをヘルプなしで我々に伝えてくれた。
慣れないうちは、これまでの「分かりやすさ」にかえって惑わされているところがあるのかもしれない。それは言い換えれば、ホームボタンはそれだけ愛されていたということでもある。(澤田真一)