SNSの発信内容が本音かどうか、気にしても仕方がない
――なるほど。「気軽に本音を言える」割合が、XよりInstagramのほうが高いのはどういう理由からでしょうか。
小島誠也さん Instagramがビジュアルコンテンツを重視しているためであると考えられます。写真や動画を使ったほうが表現は容易になるので、発信に対するハードルが低く、本音を語りやすい環境が整っています。
一方で、Xはテキストベースのプラットフォームであり、言葉選びや表現に対するハードルが高くなることが、気軽さに影響を与えていると考えられます。
――ところで、「発信内容を気にするのが面倒だ」と思う人が7割近くいることは、冒頭に述べたSNSのメリット&デメリットの面からみてどう評価したらよいのでしょうか。
小島誠也さん ポジティブな側面としては、多くの人がSNSで発信することに関して、SNSを見るであろう他者への配慮を意識しているということです。自由な表現が可能だからと言って、個人情報の流出や炎上につながるような内容の発信にはリスクがあるため、そうしたことが利用者の意識の中にある結果であると考えられます。
一方で、ネガティブな側面として、「面倒」という感覚を負担に感じて、SNS利用自体が億劫になる場合や、他者に配慮しない発信をしてしまうというようなことも考えられます。このような状況は、SNSが本来持つ利便性や楽しさを損なう要因になったり、思わぬトラブルとなったりする可能性があります。
――それにしても、「SNSでは気軽に本音」を言える割合には世代間の差があるのに、「SNSでの発信内容を気にするのが面倒だ」とする割合に世代間の差がまったくないのはなぜですか。また、面倒だとする割合がどの世代も男性より女性のほうが高いことも不思議です。
小島誠也さん 「気軽に本音が言えるかどうか」についてはSNSへの慣れが影響し、若年層のほうが本音を言えると感じていると考えらます。一方で、「発信内容を気にするのが面倒」という点については、発信内容が本音かどうかは関係がないものです。
年齢によらず多くの人がSNSの特性を理解しているため、この意識については年齢差がないものであると考えられます。
また、面倒だと感じやすい女性の割合が高いのは、社会的な圧力を強く感じやすいことや、自己表現と他者への配慮とのバランスを取ることにストレスを感じる人が相対的に多いためであると考えられます。