100人の仕事が1人で完遂「質も量も以前と同じ以上」
Aさん自身、5年ほど前のピーク時には、100人以上のクラウドワーカーを抱え、検索エンジンにヒットするキーワードを配置した記事を大量に作成していた。
「まずワーカーさんを採用する時点で、かなり手間なんです。募集してウェブ面談して、テスト原稿を書いてもらって選考して、契約書を締結して。採用後も、テーマを渡して締切までに書いてもらい、赤字を入れてフィードバックして育成するわけですが、途中で離脱する人もたくさんいます。本当に大変でした」
原稿の編集は編集部の社員の仕事だが、最終チェックは編集長のAさんだ。
「常にバタバタしていましたね。しかし今では、外部ライターはまったく使っていないし、編集部員も私ともう1人だけになりました。もう全部生成AIに置き換わったからです」
実はすでにAさん1人でも、以前と同じ以上の質と量の記事を書くことができているという。
「朝イチでその日に作成する記事カテゴリーを決めて、生成AIにアイデアを投げかけると、一瞬で15本くらいの案があがってくる。その中からめぼしいものをピックアップしてフィードバックし、その日の10本のタイトルと構成を体系的に磨き上げる。これでだいたい1時間くらいですかね」
その後は1本あたり30分から1時間で、記事の作成からシステムへの入力までを済ませる。それをもう1人の担当に回すと、画像生成AIで原稿内容を反映した画像を記事に貼り付けて公開する。
「このやり方にして半年以上経つので、プロンプト(原稿生成の指示)もかなり洗練されてきて、思い通りの記事が一発で出てくることが多くなりました。『ここ、ちょっと言葉遣いが硬いね』と指摘すると、意図を読み取ってあっという間に全文を書き直してくる。そのスピードがすごいです」