元裁判官ら6人の弁護士でつくる兵庫県の第三者委員会は2025年3月19日、斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書に関する調査報告書を県に提出した。
斎藤知事は21日、報告書について「しっかり読ませていただいてからコメントさせていただきたい」「報告書を真摯に受け止めることが大事」などと述べ、具体的な言及を避けている。元大阪府知事の橋下徹弁護士は22日、関西テレビの番組で「嘘八百は斎藤さんの方だった。知事を辞めなきゃ」と厳しく批判した。
「利害関係者が関与してはならなかった典型例」
報告書では、告発文書で指摘された7つの疑惑のうち、贈答品の受領、プロ野球の優勝パレード、パワハラの3つが法令に定める公益通報に該当すると判断し、元県民局長への処分は「明らかに違法」と指摘。夜間や休日の業務時間外にチャットで業務指示や叱責をしたなど10項目の行為が、パワハラに認定された。
また、斎藤知事と知事の側近らが文書問題の調査に当初から深く関与してきたことに、第三者委員会の藤本久俊委員長は「利害関係者が関与すれば、これは事実ではない、むしろ誹謗中傷だとなることは当たり前」と利害関係者が関与してはならなかった典型例だと述べた。
斎藤知事は、2024年3月に記者会見で「業務時間中に、嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員としては失格」と述べ、告発文書は「誹謗中傷性の高い文書」として公益通報には該当しないと主張してきた。
報告書では、公の記者会見の場で「嘘八百」「公務員失格」など元県民局長個人を非難したことに、斎藤知事が自身の言説を強調しようとしたものであり、極めて不適切で、直後に撤回をされるべきであったと指摘。藤本委員長は「文書は数多くの真実、真実相当性のあるものが含まれ、兵庫県の対応も停職3か月と公務員失格としていない。公の場で強い語句や断定口調で知らしめる必要はどこにもなかった。発言は精神的苦痛を与えるもので、職員を委縮させ、職務環境を悪化させるものなので、パワハラであった」と非難した。