斎藤元彦兵庫県知事が定例記者会見で、元県民局長が公用パソコンで「わいせつな文書」を作成していたと発言したことを巡り、波紋が広がっている。斎藤知事は文書の情報開示の可能性にも言及していたが、県側は2025年3月18日に「開示しない」決定を明らかにした。
斎藤知事は19日、「百条委員会での報告書が議決され、新たな局面になった中で、懲戒処分の内容を説明した」と話し、自身の発言は問題ないとしている。
「倫理上極めて問題のある文書だと聞いていた」
元県民局長の処分に関して、斎藤知事はこれまで「倫理上極めて問題のある文書」を作成していたなどと説明し、その具体的な内容については明らかにされてこなかった。
3月5日の定例記者会見で、斎藤知事は初めて「倫理上極めて不適切なわいせつな文書を作成されていた」とその内容に触れ、一連の元県民局長への処分は適切だったと主張。文書の公開についても「情報公開請求などがあれば、いろんな県民の皆さんの関心など踏まえて、今後、議論を全くしないというよりも、そういった議論はあり得る」と開示の可能性に言及していた。
一方で、斎藤知事は「私は(文書を)見たことはない」と述べ「見つかった当初に倫理上極めて問題のある文書だということを聞いていた」と話していた。
その状況の中、兵庫県は18日、元県民局長の公用パソコンの中身に関する情報公開請求に対して「開示しない」と決めたことを明らかにした。理由として、県は「私的情報は非公開情報に該当する上、プライバシー保護の必要性を総合的に勘案して、公益上必要がない」と判断したという。
知事個人の見解を問われ
3月19日の定例記者会見では、県が文書を非開示としたことで、5日の斎藤知事の発言との整合性について追及する記者から厳しい質問が相次いだ。
知事は、県の判断について「情報公開条例の趣旨に基づいて、非公開ということを判断された」と説明。また、知事個人の見解を問われると「行政としての判断となるので、個人の見解として公益上に資するかどうかのコメントをするのは差し控えるのがいいと思う」と慎重な回答を崩さなかった。
文書の情報公開の可能性について知事が言及していた点を質問されると、「公開する、しないをそもそも前提として発言しておらず、情報公開請求が来れば、そこから情報公開条例の条文や趣旨にのっとって、請求について一つ一つ判断していくことを申し上げた」と説明した。
ネット上では、「わいせつ文書だからと処分したことの正当性を主張している本人は文書を見ていないと言う。どう判断して処分したのかと新たな疑惑」「斎藤知事は文書もみてないはずなのにわいせつとか言ったが、根拠のない伝聞で発言するって異常」と斎藤知事の姿勢を批判する意見があがった一方、「わいせつで倫理に劣る行為の証拠を公的PCに保存している時点でプライバシー以前の問題」との声もあった。