ウクライナの停戦に進展はあったのか。2025年3月19日未明に行われたアメリカ・トランプ大統領とロシア・プーチン大統領の電話首脳会談は、2時間半の「長電話」となったが、さしものトランプも手玉に取られたらしい。
この日の放送の「ひるおび」(TBS系)で、アメリカ現代政治が専門の中林美恵子・早稲田大学教授は、「プーチン氏から譲歩を得られたかなというと、そこはほとんどない。(トランプ氏は)ちょっとメンツみたいなものは保てたかなということ」と評価した。
トランプ氏は自画自賛、しかし全面停戦の議論はなし?
たしかに、トランプ氏は「素晴らしい電話会談だった」と自画自賛したが、プーチン氏が約束したのはウクライナのエネルギー施設への攻撃停止や捕虜交換くらいで、全面停戦についてはほとんど議論しなかったようだ。
中林教授は「プーチン氏というのは何に同意するふりをして、決して譲らない人だといわれています。(日本の)北方領土もそうでしたよねえ」と語り、「(ウクライナも)どんな手段使ってでも、トランプ氏やヨーロッパをだましてでも、自分の目的を遂げようという気持ちは変わらない人なんだと思われます」「はたして、アメリカ、そしてとトランプ氏はどこまでプーチン氏を制することができるか」と懸念する。
水曜コメンテーターのふかわりょうさん(お笑いタレント)は、「結局、プーチン大統領の思惑通りの(ウクライナの)未来が訪れるのでいいのかなあ」と表情は暗い。
プーチン氏はアイスホッケーの話で局面打開を狙う?
中林教授は「(電話会談では)プーチン氏はアイスホッケーの共催の話をトランプ氏に持ち掛けて、トランプ氏はある程度賛同したそうです。ということは、今度はスポーツをきっかけにして、(ウクライナ停戦から)フェーズ(局面)を変えていこうという狙いが透けて見えますよね」と解説した。トランプ大統領は対ロシア外交で主導権を握っているつもりでいるが、プーチン大統領の方がずっとしたたかというのだ。
ふかわさんは「ロシアはロシアで何か削られるもの(失うもの)があってほしいなあと思いますけどね。ロシアを利する結果は違和感を覚えます」と心配した。
(シニアエディター 関口一喜)