数十年前からシステム導入の金融業、製造業の大手が中心
J‐CASTニュースBiz編集部は、リポートをまとめたリクルートのハイキャリアコンサルタント(デジタル、IT領域担当)丹野俊彦さんに話を聞いた。
――50歳以上のITエンジニアの転職で賃金アップが増えている背景は、近年さまざまな企業がレガシーシステムの刷新に取り組んでいるからとのことですが、具体的にはどのような業種、業界が多いのでしょうか。
丹野俊彦さん レガシーシステム――つまり、老朽化したシステムを持っているということは、数十年前からシステム導入を行っていたことになるため、ある程度資金力のある老舗大手企業が多いです。業界としては金融業界、製造業界になると思います。
刷新の背景には、システムコストの削減や、長年にわたり開発を繰り返したことによってシステムが複雑化したためトラブル時の解決に時間がかかるなど、大きな経営課題の一つになっていることが挙げられます。レガシーシステムは、そのシステムが構築された時代に主流だった汎用機(メインフレーム)と呼ばれるコンピュータと、COBOL(コボル)という旧来の言語が使われているケースが多いです。
たとえば、金融企業で基幹システムの更新時期のタイミングでクラウド化するプロジェクトが発足した際には、外部のITベンダー任せにならないよう、社内に汎用機やCOBOLを扱えるエンジニアを必要としていました。このような要件に合致する人材を探すと、結果的に50代以降の方々が該当しました。
50代だから求められているというわけではなく、汎用機やCOBOLといった旧来の技術に関するスキルを持っているエンジニアを採用しようとすると、結果的に50代以上の方が対象になることが多いのです。