フィルムはいまや「高級品」に
だが、カメラを買っても、フィルムがなければ撮影できない。
そのフィルムだが、近年価格改定が相次ぎ、もはや1000円以内では買えないようになっている。
富士フイルムの36枚撮りカラーネガフィルム『フジカラー FUJICOLOR 100 36枚撮り』の公式オンラインショップでの価格は1540円。もちろん、これは1本の価格である。
より感度の高い(つまり暗所での撮影に対応できる)『FUJIFILM 400 36枚撮り』の価格は、なんと1980円。アルバイトで生活費を稼ぐような大学生にとっては、かなりの重荷になるはずだ。
写真撮影を趣味とする筆者も、写真店で聞くのはいつも物価に対する愚痴である。
写真店に行くと、富士フイルムやコダックのフィルムはいずれも「高級品」になってしまい、代わりに店頭の目立つところに並べられるようになったのは、ケントメアというイギリスのメーカーのフィルムである。
このケントメアの35mmフィルムなら、販売価格はちょうど1000円程度。ブローニー120フィルムであれば、それより200円ほど安い。ただし、ケントメアのフィルムはいずれも白黒。
今日び、白黒フィルムの現像に対応している写真店は多くない。そのため、これを現像するには写真店を経由した外注というかたちになってしまう。つまり、現像に時間がかかるのだ。
「自分で現像もする人はその限りではないのですが、そうなると写真材料の値上げの影響をなおさら被ってしまいます。このまま価格が高騰すると、若者はよほどの金持ちでない限りフィルムカメラなど撮影できなくなるのではないでしょうか」
これは、とある写真店の店主の言葉である。