一昔前なら、美容整形は日本国内でタブーのような扱いを受けていたように思う。手術を受ける人々は一定数いたけれど、基本的には「隠すもの」といった概念が強く、否定的な意見が多かった。
現在では美容クリニックがあちこちに乱立し、整形を公表するタレント、インフルエンサーがユーザーより高い支持を集めるほどだ。広告も電車や街中など一般市民の目に触れる場所に増えたのだから、整形経験者である私も時代の移り変わりを実感する。
「美しければ美しいほど正義」
美容ブームが到来してから、日本人のルッキズムには変化が起きた。
顔にメスを入れ、注射を打つこと自体が悪とされていたのに、今では「美しければ美しいほど正義」なんて考えが浸透しつつある。年代問わず見た目にこだわる人が急増し、特に若者は美意識が凄まじく高い。
最近はパーツが整っていることや、抜群のスタイルだけではなく、骨格や肌の色、そして美容体重と称した細部にまで注目が集まり始めた。
考え方が少々過激化したのか、隅から隅まで美しさを追求した結果、キリがなくなった部分がある。気を遣い過ぎて拒食症などの健康被害を及ぼすケースも多く、ルッキズムが時に人を狂わせる一つの要因となってしまった。
顔が良ければ中身は二の次、ルックスが何よりの武器だと信じてやまない現代人が増えると、考え方が偏っていく。人は見た目が9割なんて言われるが、そこだけに意識を集中させるといつか大事なものを失うだろう。