「何となくもやもやしている」スタートでも転職活動で成長→年収アップを実現 成功のポイントは?転職の専門家が解説

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   「現職に大きな不満はないが、このままでいいのかモヤモヤしている。転職すべきかどうか、どう判断すればいい?」

   「キャリアに自信がない。職務経歴書に何を書き、面接で何をアピールすればいいかわからない」

   転職に関してよく見受けられるのが、この2つの悩みです。それを乗り越えて、年収290万円→360万円での転職を実現した事務職の女性の事例を紹介します。

   成功のポイントについて、リクルートエージェントでキャリアアドバイザーをつとめる松原大悟が解説します。

  • 転職活動、成功のポイントは
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現職に大きな不満はない 「転職するかどうか」の判断基準は?

   中小企業で事務職を務めるAさん(20代後半)は、現職に大きな不満はなかったものの「どこかいい会社があれば転職もアリかも」と漠然と考えていました。

   行動を起こさないまま、残業や休日出勤が増えていき、心身ともに疲弊。特に夜遅い時間まで残業が続くため、「友人と食事の約束ができない」ことに強いフラストレーションを感じていたそうです。

   それでも「辞めるほどではないのでは」とモヤモヤ感を抱きつつ、転職相談に訪れました。同じような悩みを抱える方は多く、私はいつもこんな言葉をかけています。

「人生においての優先順位をつけてみましょう」
「不満を抱えている現状を、自分で変えられる可能性があるかどうかを考えてみましょう」

   Aさんにもこのように促したところ、至った結論は、

「友人と過ごす時間が大切。ワークライフバランスが大切」
「業務の特性上自分で残業時間をコントロールすることは、この先も不可能」

ということでした。

   そのうえで、「5年・10年後も今の会社でこの状況が続くことを許容できますか?」と聞くと、「絶対にイヤ」とAさんは自身の意思を明確化しました。そこから本格的に転職活動スタートを決意しました。

職務経歴書作成のコツは「感情が動いた経験に注目する」

   転職活動の第一歩は「応募書類」の作成です。転職活動では履歴書のほかに「職務経歴書」の提出を求められます。Aさんと私は、次のステップで職務経歴書の作成を進めました。

   この方法はどのような職種にも共通しますので、参考にしてください。

【STEP-1】これまで経験してきた業務内容を書き出す

   まずは、これまでの仕事経験を振り返り、担当してきた業務内容をすべて書き出します。

   ただし、思いつかないことも多いものです。そこで、自身と同職種の「職務経歴書サンプル」を参照すると、「私もこの業務を経験している」と気付き、書き出しやすくなるでしょう。職務経歴書サンプルは転職エージェントから提供を受けることも、ウェブ上で入手することも可能です。

【STEP-2】「+α」の経験を書き出す

   日常の担当業務以外に経験した仕事を洗い出します。たとえば、次のように。

●業務の改善や効率化を提案・実行した
●通常業務の中で独自の工夫をしていた
●担当業務外の部門・担当者をサポートした(一般事務だが経理や人事業務を手伝った、など)
●○○を特に頑張った

   業務改善や工夫をした経験、頑張った経験がすぐに出てこない場合、これまでに「感情が動いた出来事」を思い出すことをおすすめしています。ポジティブでもネガティブでもかまいません。

   たとえば、「○○さんに感謝されたことがうれしかった」「ミスして迷惑をかけたことがつらかった」など。その感情の動きがきっかけで、アクションを起こしたこと、心がけるようになったことを洗い出してみましょう。

   それこそが「自分の強み」であり、採用選考で評価されるポイントになり得ます。

   なお、Aさんの場合、過去に発注ミスをし、大きな損害を出してしまってつらい思いをしたそうです。以来、独自でチェックシートを作成するなど、「ミス防止対策」を徹底。その姿勢とノウハウが自分の「強み」の1つであることに気付かれました。

【STEP-3】「抜け漏れ」を確認する

   会社でいつも通り業務を行い、まだ職務経歴書に記載していない業務を確認します。なお、「月末のみ」「年度末のみ」など、時期によって発生する業務も忘れずに記載します。

面接を受けるたび、職務経歴書が磨かれ、自信が満ちてきた

   こうして職務経歴書を完成させ、企業に応募して面接に臨んだAさん。ある企業の面接で、思いがけない気付きがありました。

   面接担当者から「幅広い業務をこなしてきたんですね。あなたの担当業務、当社では3人のスタッフでやっていますよ」と言われ、感心されたのです。

   その企業では結果的にお見送りになったものの、Aさんは自身の「マルチタスク能力」に気付きました。それ以外の面接でも、褒められたポイントに着目し、面接を終えるたびに職務経歴書をブラッシュアップしていきました。

「私、めっちゃ仕事してきたんですね!」

   お会いしたばかりの頃は、どこか気弱だったAさん。自身のキャリアに自信を持てるようになり、表情が生き生きと変化していきました。

   事務職は競争倍率が高く、すぐに内定がでるというわけではありませんでしたが、多くの企業に応募するなかで「自社と他社の比較」「応募企業ごとの比較」を繰り返した結果、「自分が目指したいこと」が明確になっていきました。

   企業の最終面接では、相手が役員クラス以上であるため、中長期視点で「自社で活躍していける人物か」が見られています。Aさんは、今後の目標やキャリアビジョンを語れるようになったことで高評価を受け、内定に至りました。

   採用ポジションは「人事事務」。「将来的には人事・総務部門でリーダーを任せたい」と期待され、年収290万円→360万円アップの待遇で迎えられたのです。

   Aさんのように「転職するかどうか迷っている」という人は、結果的に転職する・しないにかかわらず、まずは「転職活動をしてみる」のも1つの手です。

   まずは相談してみるだけでも、自分一人ではなかなか気づけないポイントに気づいたり、自分の価値観ややりたいことが整理できるかもしれません。

   転職活動を機にこれまでの経験・スキルを整理することで自身の強みや目標が見つかったり、さまざまな企業を見て「自分にはどのような仕事・職場がマッチするのか」が見えてきたりすることもあります。

   転職せず、現職にとどまる決断をしたとしても、その気付きは納得につながりますし、きっと次の成長に生かせるでしょう。



【プロフィール】
キャリアアドバイザー 松原大悟

地方公務員として児童福祉業務にて経験を積み、2023年にリクルートに入社。キャリアアドバイザーとして、さまざまな業界・職種の求職者の転職を支援。求職者の方にとって納得感のある転職活動ができるよう支援をすることにこだわりを持つ。

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