かむ回数、うがいの回数を増やす
唾液が出にくくなる「口腔乾燥症(ドライマウス)」にも気をつけたい。ある報告によると、高齢者の唾液分泌量は若い時の10分の1まで低下するという。薬の影響も大きい。降圧薬や鎮痛薬、鼻づまりの薬に含まれる抗ヒスタミン薬などは口腔乾燥の副作用が起きやすいからだ。
対策として、日本口腔保健協会は、(1)かむ回数を増やして唾液の分泌を促進する(2)こまめに水分補給をする(3)うがいの回数をふやす(4)室内の温度・湿度に気をつける(5)乾燥予防や保湿用の洗口剤を使う――を挙げる。特に重要なのは、よくかむことだ。唾液の分泌で食べ物がのみ込みやすくなり、消化もよくなる。食材を大きめに切り、硬い根菜類などを増やすといった工夫を凝らしたい。ガムをかむのもいい。
日々のケアも大事だ。東京都健康長寿医療センター研究所は(1)毎日の歯磨きと定期的な歯科受診(2)口腔関連のトレーニング=肩と首のストレッチ、ほおや舌のトレーニング、唾液腺マッサージ――を勧め、「バランスの良い食生活が重要」と呼びかけている。
口腔機能の低下は、何も高齢者に限った話ではない。やわらかい食材に偏りがちな現代人はしっかりとかむことが減った。対策はいつ始めても早すぎることはない。
(フリーライター 倉井建太)