番記者の追及に「第何条のどの条文を...?」 商品券配布で窮地の石破首相が繰り出した「奇手」

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   「政治とカネ」が問題になるなか、石破茂首相にとっては厳しい局面が続きそうだ。石破氏は2025年3月3日に首相公邸で行った会食の前に、自民党所属の衆院1期生議員15人に対して1人当たり10万円相当の商品券を配布していた。朝日新聞が13日夜に報じ、23時20分頃に取材に応じて事実関係を大筋で認めた。ただ、違法性を問う記者の質問には「条文は?」と逆質問し、会見は10分ほどで終わった。

  • 石破茂首相をめぐる「政治とカネ」の問題が問われている(2024年12月撮影)
    石破茂首相をめぐる「政治とカネ」の問題が問われている(2024年12月撮影)
  • J-CASTニュースのインタビューに応じる石破茂衆院議員(当時、2023年12月撮影)
    J-CASTニュースのインタビューに応じる石破茂衆院議員(当時、2023年12月撮影)
  • 石破茂首相をめぐる「政治とカネ」の問題が問われている(2024年12月撮影)
  • J-CASTニュースのインタビューに応じる石破茂衆院議員(当時、2023年12月撮影)

自民党で相次ぐ「政治とカネ」めぐる問題

   石破氏をめぐっては、朝日新聞が13日夜に「石破首相側から商品券受け取り 議員十数人10万円ずつか 複数証言」と報じた。

   朝日によると、石破氏は3日夜、24年10月に行われた衆院選で初当選した自民党の一期生議員ら15名を首相公邸に招き、会食を行った。会食には、林芳正官房長官と官房副長官の橘慶一郎氏および青木一彦氏も同席した。

   同日の日中、石破氏の秘書が参加者らの議員事務所を訪れ、「今日のお土産です」として1人当たり10万円相当の商品券を配布した。土産を受け取った議員らは、領収書の発行を求められることはなかったという。初報の朝日新聞では、今回の商品券のやり取りが政治資金規正法に抵触する可能性を指摘している。

   自民党では、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件を発端として「政治とカネ」の問題が波紋を広げている。違法性については現時点では不透明であるものの、仮に法的問題をクリアできたとしても、金銭スキャンダル報道は石破氏にとっても痛手となりそうだ。

条文では「公職の候補者の『政治活動に関して』寄附をしてはならない」

 

   こうした中、石破氏は第一報から約2時間半後の13日23時過ぎに会見を開き、記者からの質問に応じた。

 

   石破氏は会見の冒頭で商品券の配布を行ったことを認め、「これは会食のお土産代わりに、ご家族への労いなどの観点から私自身の私費、ポケットマネーで用意をしたものでございます」と説明。「これは、法律に抵触をするものではございません。そのような趣旨のものでありますので政治活動に関する寄付でもございません」と違法性を否定した。

     記者からの「政治資金規正法に抵触しないとお考えでしょうか?」との質問を受けると、石破氏は「政治資金規正法の、第何条のどの趣旨をおっしゃっておられますか」「第何条の、どの条文をおっしゃっておられますか」と返答。言いよどむ記者に「第何条のどこの条文かおっしゃっていただけますと、正確にお答えできますが」と続けた。記者は口をつぐみ、次の質問に移った。

 

   再び記者が「21条の2項に抵触するのではないか」とすると、石破氏は「ですのでそこのどこの部分ですか?」と再び具体的な条文を提示するよう要求。

   なお、21条の2の条文は

「何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して寄附(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に対するものを除く。)をしてはならない」

で、この第2項が

「前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない」

   という内容だ。

   別の質問を挟み、「何人も、公職の候補者の政治活動に関して寄附をしてはならない」の条文を聞くと、石破氏は手元の書類に目を落としてから「これは政治活動ではございません」。「どこが政治活動というふうにおっしゃっておられますのでしょうか」と反論した。

   会食は政治活動ではないのか、との質問にも、「ございません。本当に党総裁として『ご苦労かけて、すまなかったね』ということでございまして、それは政治活動とは関係のないものでございます」とした。

玉木代表は「開き直りにしか聞こえなかった」

 

   国民民主党の玉木雄一郎代表は14日、「家族へのねぎらい」の観点から「会食のお土産」としてポケットマネーで商品券を用意したとの石破氏の説明について、Xで疑問をつづった。

 
「確かに、政治資金規正法第21条の2は『政治活動に関して』の寄付を禁止しているので、『お土産代わりに家族へのねぎらいなどの観点から』の寄附は法令に抵触しないとの理屈だが、開き直りにしか聞こえなかった」
 

   「そもそも、10万円の商品券が果たして『お土産がわり』と言えるのか」とした上で、「15人に渡したというので合計150万円にもなる。問題ないなら、15人全員なぜ返したのか」とも主張。

 

   「これだけ物価高で国民が苦しむ中、財源が無いだの、再来年度まで待ってくれだの放っておいて、自党の議員にはお土産代わりに10万円。この感覚を国民は理解してくれるだろうか」とした。

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