マナー上、何かと問題が多い「ながらスマホ」だが、人との交流が活発な人ほど行っていることが、NTTドコモのモバイル社会研究所(東京都千代田区)が2025年3月11日に発表した「ながらスマホの調査」でわかった。
10代~30代の7割以上が「歩きスマホ」をしているという。何とか減らす方法はないものか。調査した専門家に聞いた。
仲間や友達と旅行・趣味・外食で交流する人に高い傾向
モバイル社会研究所の調査(2024年1月)は、全国15歳~79歳の男女6305人が対象。「ながらスマホ」を「食事中、歩行中、人ごみの中の中でスマホをみること」と定義した。そして、人との交流頻度と、ながらスマホの関係を調べた。
その結果、仲間や友達とメール・LINE・電話で交流をよく行っている人ほど、ながらスマホを行う傾向があり、「行っている」「ときどき行っている」人は5割以上がながらスマホをしていた【図表1】。ちなみに、ながらスマホにおける「行っている」は、「特に気にせず行っている」「多少気になるが行っている」「状況に迫られて仕方なく行っている」の合計。
次に、仲間や友達と旅行・趣味・外食での交流頻度と、ながらスマホの関係を調べた。やはり、交流を行っている人ほどながらスマホを行う傾向にあり、5割以上がながらスマホをしていた【図表2】。
最後に、旅行・趣味・外食での交流頻度と、ながらスマホの利用率を年代別に比較したのが【図表3】だ。その結果、おおむねどの年代でも交流が多い人ほど、ながらスマホの割合が高い傾向にあるが、特に、10代~30代では約7割以上に達することがわかった。
「手持ちぶさたに」スマホをいじる人も6割に
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なったモバイル社会研究所の石原昌さんに話を聞いた。
――ながらスマホをする割合は、年々増えているのでしょうか。
石原昌さん 近年増加傾向がみられます。当研究所の調査では、たとえばこの10年間で「手持ちぶさたにスマホをいじる」は36%→60%に、「食事スマホ」は35%→49%に、「歩きスマホ」は39%→46%に増えております。
SNSを使ってニュースや趣味などの情報を日常的に得ている割合が増えていることが、ながらスマホ増加の要因の一つとして考えられます。
――今回の調査、仲間や友達にメール・LINE・電話で連絡を取ったり、一緒に旅行・趣味・外食を行ったりと、要するに活発に仲間や友達と交流している人ほど、ながらスマホが多いという結果ですね。
私は個人的には、アクティブな生き方を推奨したい思いがあるのに、ながらスマホというマイナスの生活態度に近づくという結果が残念です。どういう理由でプラスの行ないが、マイナスにつながってしまうのでしょうか。
石原昌さん メール・LINE・電話はすべてスマホを使います。また、旅行・趣味・外食のいずれのシーンにおいても、最近はスマホを使うことが伴うことが多いため、スマホの使用頻度によるものと考えています。
リポートのタイトルにも書かせていただいているとおり、マナーを意識して利用していただきたいと考えています。
使用禁止時間帯、場所、目的を決めよう
――10~30代ではながらスマホを行っている人が70%以上、特に20~30代では「歩きスマホ」が70%台後半という衝撃的な結果です。これはスマホ依存という精神面と、周囲に危険を及ぼすという安全面で問題ではないでしょうか。
ながらスマホを減らすにはどういう方法があるのか、アドバイスをお願いします。
石原昌さん ながらスマホを行っている人が多いことと、スマホに依存しているとは別だと考えています。とはいえ、周囲に迷惑をかけたり、不快な思いをさせたりするなどのマナー上は問題になる可能性があるため、その場にあった適切な利用をしてほしいと考えています。
ながらスマホを減らすには、使用ルール(使用禁止時間帯/場所/目的/状況を決めるなど)を設けたり、メリハリをつけた利用を意識することがまずやるべきことかと思います。
どうしても、通知が来ると、相手に早く返信しなくては、という気持ちになってしまうので、LINEの通知設定をオフにしておき、自分のタイミングでメッセージのやり取りをする、ということも一つの方法かと思います。
――なるほど。今回の調査で特に強調しておきたことがありますか。
石原昌さん ながらスマホは、行っている本人が気づかずに、他人に不快感を与えたり、コミュニケーションの質が低下したり、公共の場でトラブルの原因になったりする可能性があります。スマホを利用する際には、ぜひマナーを意識して行動していただきたいです。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)