「ワークライフバランスを重視し、そこそこ働ければいい」
J‐CASTニュースBiz編集部は、コラムをまとめたマイナビのキャリアリサーチLab研究員の中島英里香さんに話を聞いた。
――若手社員確保のために初任給額が年々上がり、平均額が23万7300円に達しているのに、学生が希望する最低限ほしい初任給額で一番多い回答が、それよりも2万円ほど低い「20~21万円未満」という結果が非常に不思議です。なぜ控えめなのでしょうか。
中島英里香さん 「就職先を検討する際、『初任給』の金額にどの程度こだわるか」を聞いた結果、最も多かったのは「平均的な金額であれば、ほかの条件が希望通りであることを優先する」で、約半数(47.2%)となりました。
昨今高額な初任給額を提示する企業の報道に注目が集まっているように思いますが、多くの学生は高額な給与を求めているわけではなく、給与に対しては平均程度、加えてそのほかの条件に注目しているようです。
また、前年2025年卒学生への調査ですが、「人生100年時代」に向けた今後の働き方として考えに近いものを聞いた結果では、最も多いのは「ワークライフバランスを重視して、そこそこ働ければいい」(42.8%)という結果でした。
昨今のワークライフバランスへの意識の高まりもあり、高額な初任給よりもワークライフバランスを重視したいと考える学生が多いのではないでしょうか。
――とはいえ、【図表1】をみると、26万円以上の高額を希望する学生も合計13.8%います。約7人に1人の割合になり、前年(2025年卒)の調査(5.3%、約19人に1人の割合)よりかなり増えています。ということは、必ずしも控えめになったとは言えないのではないでしょうか。
中島英里香さん 「就職先を検討する際、『初任給』の金額にどの程度こだわるか」を聞いた調査でも、「平均的な金額よりも目立って高額な初任給であることを重視する」という回答も11.8%と一定の割合があり、高額な初任給を求める学生もいることは確かです。
私がコラムの中でお伝えしたかったのは「平均的な金額であれば、ほかの条件が希望通りであることを優先する」学生が多数派であるということです。