英国ボクシング管理委員会は2025年3月11日、記者会見で対戦相手を卵で殴りつけた元WBA世界スーパーミドル級暫定王者クリス・ユーバンク・ジュニア(英国、35)に対して、10万ポンド(約1900万円)の罰金を科した。複数の海外メディアが報じた。
「彼の財布にそれほど大きな痛手にはならないだろう」
ユーバンク・ジュニアは、4月26日に英ロンドンでコナー・ベン(英国、28)と対戦する予定で、その記者会見が2月27日に英国で行われた。
「事件」は、会見でのフェイスオフ(対戦する両者が対面すること)で起こった。
両者にらみ合いが続く中、ユーバンク・ジュニアが突然、持参した卵をベンの右頭部に叩きつけた。
激高したベンは、ユーバンク・ジュニアをつかみかかろうとしたが、待機していた数人のスタッフに取り押さえられ、そのまま会場を後にした。
米ボクシング専門メディア「ボクシングニュース24」(ウェブ版)は、「素晴らしいプロモーションか、それとも高価なスタントか? クリス・ユーバンク・ジュニア、記者会見でコナー・ベンに卵を投げつけたとして10万ポンドの罰金」とのタイトルで記事を公開した。
同メディアは、ユーバンク・ジュニアの罰金について、皮肉交じりに、こう伝えた。
「この罰金は、明らかにベンとの試合で稼ぐお金が少し減っただけだ。この事件でPPVの売り上げが伸び、以前より稼げる金額が増えるので、彼の財布にそれほど大きな痛手にはならないだろう。言いたくないが、これはユーバンク・ジュニアとベンにとって良い結果だった。彼がこれを最後の記者会見や計量ではなく、最初の記者会見でやったのは残念だ」
「この事件が4月の試合にもたらした注目は計り知れない」
そして、「この事件が4月の試合にもたらした注目は計り知れない」と指摘し、その理由について言及した。
「これまで以上に関心が高まっている。これはクリス・ジュニアに感謝すべきことだ。それまでファンは、この試合を、このスポーツで将来が期待できない、才能に乏しい2人のファイターによるイギリスの『喧嘩』としか見ていなかった。今ではファンは彼らの試合を見たいと思っている。これはプロモーションにとってプラスだ」
ユーバンク・ジュニアとベンの父親はともにプロボクシングの元世界王者で、英国で絶大な人気を誇った。父親らは過去に対戦したことがあり、英国では「伝説の一戦」として語り継がれているという。
ユーバンク・ジュニアとベンは22年10月に対戦する予定だったが、ベンが薬物検査で禁止薬物の陽性反応を示したため、試合は延期となっていた。
ユーバンク・ジュニアの戦績は34勝(25KO)3敗。ベンは23勝(14KO)無敗。