フォトグラファーの「二分化」が進むか?
現在市場投入されているフルサイズ(35mm)センサーのデジカメの画素数は、概ね2200万画素から3000万画素といったところか。多いものでは6000万画素というのもあるが、それでも上述のXiaomi 15 Ultraには遠く及ばない。
しかし、センサーの大きいデジカメで撮った写真は、階層表現に優れている。色のグラデーションがきめ細かく、結果として恐るべき立体感を持った写真に仕上がるのだ。
それまでは専らスマホで写真撮影をしていた人が、高級コンデジやデジタル一眼レフカメラを所有して「人生が変わった」とまで口にするのは、スマホカメラでは絶対に撮影できない立体感に圧倒されたためである。
以上の理由から、センサーの大型化が難しいスマホカメラが「本職」のデジカメを完全に追い越す日はまだ少し遠いかもしれない。
とはいえ、「難しい」は「不可能」ということではないのも事実。Xiaomi 15 Ultraの4.3倍超望遠カメラが採用しているセンサーのサイズは、スマホカメラにとってはギリギリ一杯とも言える大型の1/1.4インチ。これならば、家電量販店で安売りされているような低価格帯のデジカメよりも遥かに高いパフォーマンスを期待できる。ちなみに、Xiaomi 15 Ultraのカメラを監修・共同開発したのはあのライカである。
そのうえで、現在のフラッグシップモデルのスマホは、オンデバイスでのAI処理を可能とするようになった。AIの力を借りて、たとえば撮影した直後の画像の階層表現をよりダイナミックな具合に自動加工する......ということは既に行われている。ピンボケ修正や不要な写り込みをピンポイントで消す機能も用意されている。
となると、今後、フォトグラファーと呼ばれる人は「AIの処理能力を重視する人(スマホカメラ派)」と「AIの力を借りずに、大型センサーと光学レンズが実現するパフォーマンスにこだわる人(デジカメ派)」に二分化されていくかもしれない。(澤田真一)