「共産党以外のあらゆる政党から『国会議員になってくれ』と勧められたよ」――現在90歳。おそらく世界最年長の番組キャスター田原総一朗さんはあきれたように言う。テレビ朝日の広報・自局批評番組「はい!テレビ朝日です」(日曜朝5時)は2025年3月2日と9日の2回にわたって、田原さんのインタビューを放送した。
「SNSはとっても危険だ」
田原さんと言えば、やはり1987年にスタートした深夜の討論番組「朝まで生テレビ!」だ。原発、天皇の戦争責任、部落差別、改憲、反日・嫌韓など、それまでテレビではタブーとされてきたテーマを次々と取り上げた。田原は司会者でありながら、時の政権も野党も容赦なく批判した。
うるさい田原さんを自分のところの議員にして取り込んでしまえということだったのだろうか、「とくに強く勧められたのは自民党。国会議員になってくれたら、すぐ大臣にすると。僕はそれを断り続けた」と田原は笑う。「権力者にはなりたくなかった。ジャーナリストでいたかった」からだ。
「好きなの。テレビ番組を作ることが好きなの」という田原は、メディアの現状をどう感じているのだろう。新聞やテレビなど「オールドメディアを守りたい」という。
「SNSはとっても危険だと思ってる。SNSは好きなもの(だけ)を見て読む。テレビや新聞はいろいろな情報がある。好きな情報も嫌いな情報も両方入っているのが大事だと思っている」
「死んだ時がジャーナリストとして引退」
朝生も喧々囂々、侃々諤々、百家争鳴。意見のまったく違う論客が生でぶつかるスタジオドキュメンタリーなのだという。視聴者はそこから自分の意見を見つけてほしいということなのだろう。
来月には91歳になる。いつまでうるさいじいさんを続けるのか。「仕事が趣味なんですよ」「だから死ぬまでやる。死んだ時がジャーナリストとして引退です」
エネルギーの元は、目玉焼き、バターたっぷりの食パン1枚、レタス、牛乳、リンゴジュース、冷たいお茶の自分で作る朝食だ。
(シニアエディター 関口一喜)