男女5人組ロックバンド「サカナクション」の山口一郎さんが2025年3月10日、Xで「熊本城ホール」の設計を絶賛した。
山口さんの投稿を受け、熊本市の大西一史市長は建設の「狙い」について説明した。
「熊本でライブを行う時は、サカナクションとしてはもうここしか考えられない」
サカナクションは、1月より全国ホールツアー「SAKANAQUARIUM 2025 "怪獣"」を展開している。山口さんは10日、「一昨日と昨日、熊本城ホールで初めてのライブだった」と切り出し、感想をつづった。
「全国各地にあるホールで数え切れないくらい歌ってきたが、この熊本城ホールは良い意味で異質だった。音の反響が非常に少なくてデッド(※残響が少ない状態)だ」
「普通の音楽ホールは、反響音で音楽を聴かせるように設計されているが、ここは真逆で、全くと言っていいほど音が反響しないのだ」といい、「我々のようなバンドサウンドであったり、PAを必要とするミュージシャンとしては、音の分離や全体の音量を丁寧に調整できるし、演奏もしやすい」。
「非常に画期的なホールだった。熊本でライブを行う時は、サカナクションとしてはもうここしか考えられない」と絶賛した。
熊本城ホール公式Xは、山口さんの投稿を引用し「最高のライブと最高の誉め言葉をありがとうございました! また絶対当ホールでライブをしてくださいね お待ちしております」と喜びをつづっている。
「まさにこのホールの計画・設計時の狙い通り」
熊本城ホールは、熊本市中心部の再開発複合施設「SAKURA MACHI Kumamoto」に併設された劇場だ。建設途中の16年4月に熊本地震に見舞われ、耐震性能向上や避難者受入機能の強化などを経て、19年末に開業した。
趣味のひとつが「ドラム演奏」だという大西市長は、山口さんの投稿を受け「まさにこのホールの計画・設計時の狙い通りのコメントなんです」と反応。Xで、ホールの「狙い」について詳細を明かした。
熊本市内には、「クラッシックの生音に向いているとても響きの良いクラッシック専用のコンサートホール」だという熊本県立劇場と、「多目的に使えるホール」の熊本市民会館の二つがすでにあった。
しかし、前者は「キャパは約1800席ありますが、逆に音が響くため音響装置を使うバンドサウンドには不向き」で、後者は地震による復旧工事を経て音響の改善が進んだものの「キャパは1600席弱で少し小さめ」だったという。そのため、「この二つのホールだけでは熊本ではキャパが足りなかったりホールが空いていなかったりで様々なアーティストがこれまでツアーなどで熊本を素通りする状況が続きました」。
公演やイベント、5年間で約1600件増加
そこで、「新しいホールは今まで熊本に無かったキャパの2300席に設定」し、「講演会や音響装置を使うライブエンターテイメントなどに特化した音響にこだわったホール」を目指すことに決めたという。
「中途半端なものにならずに特色が出て、さらに熊本市内の他のホールも特徴がそれぞれ活かされる」「今まで熊本で実現しなかったある程度キャパの必要な有名アーティストの公演も学会や国際会議なども誘致できる」との見込み通り、熊本城ホールのオープン以来、「熊本県立劇場や熊本市民会館と3つの施設を合わせて5年間で約1600ものライブなどの公演やイベントが増えている」という。
災害対策や座席の見えやすさなどの配慮にも注力しているといい、「このようにかなり色んな事を考えて建設されたホールですのでこれから多くの皆さんに末永く愛されるホールになってくれればと思います」と思いを明かしている。
サカナクションの山口一郎さんが熊本城ホールについて「我々のようなバンドサウンドであったり、PAを必要とするミュージシャンとしては、音の分離や全体の音量を丁寧に調整できるし、演奏もしやすい。非常に画期的なホール」と褒めて頂きましたが、まさにこのホールの計画・設計時の狙い通りのコメント… pic.twitter.com/uZoMpzrXWG
— 熊本市長 大西一史 (@K_Onishi) March 10, 2025