「震災遺構は、言わば『無言の語り部』」
日本は全国どこでも、自然災害が起きる。海岸近くに住んでいない人でも、旅行や出張でたまたま海辺を訪れたときに地震、津波が発生するかもしれない。
山内さんは、防災教育を学校のカリキュラムに入れてほしいと願う。そのうえで、実際に災害に直面した場所や遺構を訪れ、被災経験者の話に耳を傾け、「自分が津波に直面したら」を体感することは大いに意味があるはずだ。
最初に紹介した小野寺さんは、語り部としての活動も続けているが、「震災遺構は、言わば『無言の語り部』」と表現した。破壊された建物の前に立てば、津波の威力のすさまじさを肌で感じられる。見学したあと、当時の津波の映像を見たりインターネットで調べたりする機会があれば、「用心しなければ」と気を引き締めるきっかけになるだろう。
記者はほかにも、被災経験を持つ数人に震災遺構への率直な意見を聞いた。
仙台市の女性は、3人の子の母親だ。末の長男だけが震災後に生まれたため、実際に体験した2人の姉と違って「どんな出来事だったかイメージしにくいみたいです」と明かす。長男は市内にある遺構「荒浜小学校」を見学した。女性は「自分が住んでいる場所で起きた出来事を少しでも身近に感じられる遺構は、意義があると思います」と語った。(J-CASTニュース 荻 仁)