津波の恐ろしさが刻まれた「震災遺構」 被災した人々はどう見ているのか【震災14年】 #知り続ける

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次世代に伝えるのは「大人社会の責任」

   震災遺構について、「当初は賛否ありました」と語るのは、気仙沼在住の山内松吾さん。教員として宮城県内の高校に勤務し、南三陸町の志津川高校で校長を務めた。多くの人が犠牲となった震災で、残った建物などを見るのがつらいと考える住民もいた。山内さん自身は、家族や親戚が被災しなかったこともあり、「後世に伝えるには必要ではないだろうか、という立場でした」。

   気仙沼市は2013年以降、震災遺構に関する議論を重ね、その対象を気仙沼向洋高校旧校舎に絞る。ここが整備され、19年に伝承館の形でオープンした。

   運営するうえでは当然、経費がかかる。そもそも校舎が傷んでおり、修繕やメンテナンスを継続しなければならない。来館者に応対するための人件費、各種設備の管理費用も必要だ。入館料収入はあるが、子どもにも多く来館してもらいたいことを考えると、料金を高額にするのは難しい。これは、全ての震災遺構・伝承施設に共通する課題だろう。

   山内さんは、震災経験を次世代に伝えていくのは「大人社会の責任」と考え、「採算を度外視してでも」と施設の重要性を強調する。

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