10代でホテル暮らし、家には全く帰っていない
本来の歌舞伎町は少年少女が行くべき場所ではないのに、彼らはわざわざトー横を選んでしまうのだから、これは一種の「子どもたちの叫び」だ。
もちろん、ただ遊びに来ているだけの子もいるけれど、あの場から離れられない若者はどこか心が寂しいから。満たされない気持ちを埋めるためにあの一角へ駆け込み、脇道にそれてしまうのだ。
全員が"グレている"と言い難いのがトー横キッズで、実は実家がお金持ちなんてパターンも珍しくはない。
「お金があるなら家の中に不満はないのでは」と私も思ったのだが、話を聞くと、そういう子たちは生活費だけ渡されて、あとは放置とのこと。生活には困らないがコミュニケーション不足のまま育ち、大切なものが欠け、非日常を求めるのだろうか。それも無理のない話だ。
最も驚いたのは10代でホテル暮らしを続け、家族からいっさい連絡がないケースだ。該当者は成人したトー横仲間とホテルの一部屋を借り、家に全く帰っていないという。親はお金を渡してくれるが、子どもの安否やら、現在の動向に関してはノータッチだった。この話を聞いた時、空いた口が塞がらなかったのは言うまでもない。