元大阪府知事の橋下徹弁護士は2025年3月8日、関西テレビの「ドっとコネクト」に出演し、24年11月の兵庫県知事選について「この民意は邪道で、地方自治法の王道で得た民意ではない」と、本来は出直し選挙でなく、県議会を解散すべきだったと語った。
斎藤さんは「権力者失格」
番組では、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が3月4日、兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を亡くなった県元幹部から告発されていた問題などを巡って公開した調査報告書に関して、パワハラ疑惑については「パワハラと言っても過言ではない不適切なもの」、おねだり疑惑については「個人消費と捉えられても仕方ない行為があった」、公益通報者保護法の違反に関しては、「文書は外部通報に当たる可能性が高い、告発者潰しと捉えかねないとして、現在も違法状態の可能性がある」と結論付けられたことが紹介された。
この報告書に関し、橋下氏は一番の問題点は「告発者潰し」だったと指摘。斎藤知事は誹謗中傷性の高い文書で告発ではないと主張してきたが、百条委員会が一部は事実だと認められるものがあると結論を出したことに対し「一部でも事実は含まれている、立派な告発」と語った。
また斎藤知事の姿勢については「最初の段階で告発として扱わずに、告発者を探しにいって、処分をしにいって、斎藤さんはその処分が正当だというんだけど。そういうことを一切せずに、第三者に任せて、反省すれば何にも問題はなかった。権力者として、失格です」と厳しく批判した。
「兵庫県議会は不信任を出し続けるべき」
昨年の知事選を巡る状況については「斎藤さんの支持者は民意を得たというんだけれども、この民意は邪道で、地方自治法の王道で得た民意ではない。本来、地方議会から不信任決議を突き付けられた知事は、何をやらなきゃいけないかというと、議会を解散して、議会の構成を入れ替えるんです。過半数知事の味方を得ることができたなら、議会とタッグを組んで県政を進めることができる」と独自の見解を主張。斎藤知事が出直し選挙を選んだ理由として「議会を解散して、自分の味方を半分つけるのは大変だから、斎藤さんは議会のことをよく分かっているんで、出直し知事選をやったんですよ。だから、いつまでたっても知事の民意と議会の民意が統合されない」と分析した。
番組では、今後の兵庫県政について、何もしない現状維持、県議会の辞職要求・勧告、不信任決議を提出、知事自らの辞職の3つのシナリオがあることが紹介された。「僕は兵庫県議会は不信任を出し続けるべきだと思う。斎藤さんが辞めるか議会解散をやって、不信任、議会解散、選挙、これはお金がかかったとしても民主主義のコストとしてやるべき」と訴えた。
「こういう官僚答弁で済ますのはどうなのか」
同番組に出演した元経産省官僚で慶応義塾大学大学院教授の岸博幸さんは、「残念だったのが、百条委員会を開催して、その結果を踏まえて知事選だったのが、順番が逆になってしまった。もう民意を得てますから、当然立場が強いというか強気になるのはしょうがない」と述べた。その上で、
「ただ百条委員会は法律に定められた非常にフォーマルな委員会。そこが結果を出したわけですので、それに対しては敬意を表した表現で答えてほしかった。こういう官僚答弁で済ますのはどうなのか」
と疑問を呈した。