原発事故「ふるさとを返せ」14年たった今も 浪江町津島、帰りたくても帰れない【震災14年】 #知り続ける

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津島で共に暮らしてはじめて伝承できるものがある

   一方で、ふるさと津島を後世にどう残していくかは大きな課題だ。書籍や映像といった形で記録を残し、広く知ってもらう活動はすでに行っている。

   伝え残したいもののひとつが、「津島の田植踊」だ。300年ほど前に地域に伝わり、豊作を祈る民俗芸能として上津島、下津島、南津島、赤宇木(あこうぎ)の4集落で連綿と受け継がれてきた。原発事故後、住民は避難で散り散りになっても懸命に保存活動を続けている集落の住民もいる。伝承のため進学先の大学で田植踊を紹介し、広めようと努力している若者も出てきた。

   なんとかして地域文化や伝統を継承していきたい。ただ、

「全ては難しい」

と今野さん。津島という場所に人々が暮らし、日々を過ごしながら共同で生み出したり、受け継いでいったりする日常の細かな風習までは、伝えようがないというのだ。

   津島の大部分がいまだ、住民が帰れない現実。震災から14年で、亡くなった人も少なくない。別の地域での生活が長期化し、元の家を取り壊した人もいる。そのなかで「昔と同じ地域社会は取り返せません。それでも、ふるさとに根差した住民の生活が戻ってくれれば」と今野さんは願う。(J-CASTニュース 荻 仁)


   東日本大震災から14年。長い年月を経て記憶の風化が進み、当時を知らない世代は年々増えています。

   震災で起きたことを後世に伝え、教訓とする多くの取り組み。今も被災の苦しみに悩まされている住民。J-CASTニュースでは2025年も岩手、宮城、福島の人々を取材し、3回シリーズでお届けします。

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