我慢だけではいけない、責任の所在を明らかに
2015年9月、津島地区の住民の約半数が原告団を結成して、国と東京電力を相手取り福島地裁郡山支部へ提訴した。「ふるさとを返せ」訴訟として、原状回復と損害賠償を求めるものだ。今野さんは、原告団の団長を務める。
この裁判の根底には、「怒り」があると今野さん。土地、住まい、人間関係、自然......津島の地で長い年月をかけて育まれてきたものだ。原発事故後、住民は避難指示で故郷を離れざるを得ず、多くの苦しみや悲しみを抱えてきた。「その痛みを、ただ我慢するだけではいけない。責任の所在を明らかにして、対策を講じ、二度と同じ事故を起こしてはならないんです」と訴える。
一審では国と東電に、総額約10億円の支払いを命じる判決が出されたが、原状回復請求は却下された。原告側は21年8月、仙台高裁に控訴し、今も裁判は続いている。