「高齢者向け分譲マンション」元気なシニアには魅力 利点多いが「ちょっとお高い」が課題

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   高齢者向けの住まいが多様化する中、新聞の広告などで最近、特によく目にするのがシニア向け分譲マンションだ。バリアフリー構造に加えてレストランなどの施設を備え、中にはクリニックなどが入るマンションもあって、まさに至れり尽くせり。高齢者が暮らしやすい住環境だから利点が多いものの、デメリットがあるのも忘れてはならない。

  • シニア世代のマンション購入意欲は高い
    シニア世代のマンション購入意欲は高い
  • LIFULL seniorのプレスリリースより
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マンションが資産となるのはメリット

   超高齢社会を迎え、シニア世代のマンション購入意欲は旺盛だ。リクルートが2024年3月に発表した「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」によると、契約時の世帯主年齢で60歳以上が契約者全体の8.1%を占め、過去最多を記録した。

   介護不要の高齢者にとって、快適なシニア向け分譲マンションは有力な選択肢の一つだ。プール、カラオケルーム、図書室などの娯楽施設を備えた物件が多い。バリアフリー化した居室はキッチン、浴室、トイレを完備。食事の提供や、フロントサービス、管理室への緊急通報も可能だ。介護サービスが必要になったら、外部業者と契約する。

   マンションが資産となるのはメリットの一つ。購入後の売却や、賃貸としても貸し出せるほか、リフォームや子どもへの相続も可能だ。二つ目の利点は自由度の高い生活だ。買い物などの外出や外泊に制限はない。プライバシーを守れるのもいい。最大の魅力は充実したサービスや娯楽設備かもしれない。フロントサービスは来訪者の受付、安否確認、各種の相談ができる。共用の娯楽施設があり、サークル活動も活発なため、入居者同士の交流を通じて豊かなシニアライフが送れる。

   むろん、難点もある。(1)購入費用が1000万~1億円超で、月々の管理費や修繕積立金、食事、各種サービスの利用料が数十万円と高額(2)物件数が少ないため、価格などの希望条件に合う物件が見つかりにくく、選択の幅が狭い(3)手厚い介護が必要になった場合は、介護施設などに移る必要がある。

人気のサービス付き高齢者向け住宅

   自立した高齢者向けの住宅として、もう一つの候補がサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)だ。高齢者住宅検索サイトの運営会社「LIFULL senior」が2024年5月、60歳以上を対象に実施した住み替えに関するインターネットによる調査で、住み替え意向を持つ人に好ましい住居形態を尋ねたところ、「サ高住」を挙げた人が27.6%を占め、最も人気が高かった。次いで「シニア向け分譲マンション」と「戸建て」が各14.7%で、これに「有料老人ホーム」の13.1%が続いた。

   サ高住はバリアフリー対応の、いわば見守り付き賃貸住宅で、60歳以上か、要介護・要支援認定を受けた60歳未満が対象だ。サービス付きとはいっても、安否確認と生活相談が基本のサービスであり、介護は介護サービス事業者と契約する必要がある。「生活の自由度が高い」「重度の要介護は居住の継続が難しい」といったシニア向け分譲マンションとの共通点があるが、賃貸のため、初期費用が安く、別の物件に転居しやすい。敷金の相場は数万円~数百万円で、家賃や管理費などの月額利用料は数万円以上からだ。

老人ホームは生活の自由度が低い?

   所有権を持つシニア向け分譲マンションに対し、有料老人ホームは施設利用の権利を得る利用権方式が一般的だ。有料老人ホームは「食事の提供」「介護の提供」「洗濯・掃除等の家事の供与」「健康管理」のうち、一つ以上のサービスを提供しており、多くの有料老人ホームが看取りまでしてくれる。立地などによって費用は大きく変わり、家賃の前払いに相当する一時金は数千万円の場合も。管理費や食事、利用サービスの料金など月々の費用も、中身次第で大きな違いが出る。食事や入浴など、1日のスケジュールや家族との面会時間が細かく決められているため、生活の自由度は低い。

(フリーライター 倉井建太)

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