カタログのラインアップに載っていても、すぐに納車されないクルマがある。
現在、すぐに納車が困難なクルマには、日産GT-R、日産フェアレディZ、トヨタランドクルーザー300、ホンダシビックtypeR、スズキジムニーノマドなどがある。いずれも人気車で、生産が追い付かないのが要因だ。メーカーがあらかじめ想定した販売台数を上回る受注があるため、受注した分の生産を優先し、新規の受注を控えているということだ。
販売台数が限られるスポーツカー
GT-RやフェアレディZ、シビックtypeRなどのスポーツカーは、元々、販売台数が限られ、メーカーも大量生産の体制をとっていない。このため人気が殺到するほど、納車まで時間がかかることになる。
日産は2024年11月、それまで一時停止していたフェアレディZの新規受注を再開した。ただし、日産は「2024年度の生産数には限りがあるため、11月下旬から開始する注文受付台数には上限を設ける」としていた。7代目となる現行のフェアレディZは2022年に発売。メーカー希望小売価格は549万円台から。
日産は4月以降、2025年度の生産分については、1月9日から受注を開始した。ただし、上級モデルのフェアレディZ NISMO(930万2700円)は現在、新規注文の受け付けを中止しているので注意が必要だ。日産は「次回の受付は2025年度内の案内を予定している。決定次第、案内する」とアナウンスしている。
ホンダは現在、シビックtypeRの受注を一時停止している。6代目となる現行のシビックtypeRは2022年にデビュー。価格は499万円台から。ホンダは「発売以降、好評を頂いており、たいへん多くの注文がある。既に注文された全てのお客様にシビックTYPE Rを確実にお届けするため、注文の受付を一時停止させて頂いている」と説明。受注再開の見通しは明らかにしていない。
収益性が高い高性能スポーツカー
フェアレディZもシビックtypeRも発売から今年で3年目を迎え、本来なら人気も落ち着き、生産も安定するはずだが、そうなっていない。いずれもメーカーとしてはイメージリーダーとなる高性能なスポーツカーで、1台当たりの収益性も高いため、大量生産するつもりはないのだろう。
一方、スズキが2025年1月30日に発表したジムニーノマドは2月3日まで、わずか5日で約5万台の受注があり、スズキは2月3日、「受注を一時停止する」と発表した。
ジムニーノマドの月間販売目標は1200台で、4月3日に発売する。こちらは従来の3ドアに飽き足らないジムニーファンが5ドアのノマドの登場を待ち構えており、一時的に注文が殺到したのだろう。
月間販売目標の1200台はジムニーノマドとして妥当か少し高めの数字だ。スズキはインドで生産するジムニーノマドの日本向けの生産を月産2500台程度と倍増させるようだが、受注再開の見通しは立っていない。ジムニーノマドは265万1000円から。フェアレディZやシビックtypeRほどの高性能車ではないが、受注した約5万台のジムニーノマドがユーザーの元に届くには、長くて3年ほどかかる計算になる。
新車購入時には納車時期に注意
人気車に限らず、新車を購入する場合は納車時期に注意する必要がある。コロナ禍で半導体が不足した時期は各メーカーとも生産が滞った。現在、メーカーはユーザーが新車を注文してから、工場で出荷するまでの期間をホームページなどで明らかにしている。
トヨタ自動車の場合、アクアで5か月程度、プリウスは3~4か月程度、ヤリスで1~2か月程度かかるという。車種によっては「詳しくは販売店に問い合わせ下さい」となっている。
新車を購入する場合、納車時期に注意が必要だ。メーカーの公式発表と異なり、販売店(ディーラー)が在庫を抱えている場合もある。人気車や生産終了となったクルマでも希望を捨てず、ディーラーや専門店に問い合わせてみることをお薦めする。
(ジャーナリスト 岩城諒)