1on1は「部下のための時間」だ、上司は聞き役に徹するくらいがいい
――1on1が効果をあげるようにするには、上司、部下ともに何を準備し、どういう心がまえで臨めばいいでしょうか。
児島功和さん 上司は日頃から部下の意見を尊重したり、部下を励ましたり、部下に俯瞰的な視点から助言することを通じて、部下からの信頼を得ることが大切でしょう。
そのうえで、1on1は「部下のための時間」であることを再確認し、部下の話を聞きながら「今日は聞き役にまわりすぎかな?」と思うくらいがちょうどよいのではないでしょうか。そのうえで、上司は自身の思いを率直に語るとよいと思います。
部下は、1on1に関するマニュアルなり書籍に少しでも目を通しておき、上司の話をしっかり聞き、そのうえで仕事経験についてたどたどしくても自分の言葉で話せるようにしたほうがよいでしょう。
――会社としても上司、部下の1対1の関係に任せず、何を一番重要視すればよいでしょうか。
児島功和さん 1on1を上司のスキル問題としてではなく、組織問題としてとらえることが一番重要です。そのうえで自分たちが従業員の成長を重視する組織であり、かつ成長のために支援は惜しまないというメッセージを従業員に伝えることが大切でしょう。
今回の調査結果でも、上司、部下はともに1on1を改善するには「『人材育成』を重視する組織風土をつくる」ことが最も重要と答えていました。近年は管理職の罰ゲーム化とも言われますが、1on1を導入しても現場に丸投げ、上司に丸投げでは上手くいかないと思います。
上司からすると「もう抱えきれない!」というのが現状です。会社として、人材育成の重要性を確認しつつ、どのような人材を育てたいのか、育てるにはどうすればよいかと検討を進めたうえで、そこで「1on1だ!」となれば、1on1が上手くいくためには何をすればよいのかと考えを進めていく。これが重要であるように思います。