部下が仕事経験を自分の言葉で話せるようになることが重要
――たしかにそうですが、面白いと思ったのは1on1時に、上司は自分より部下が多く話していると感じており、部下は自分より上司が多く話していると感じる人が多い、という指摘です。この上司と部下のギャップは、どうして生まれるのでしょうか。
児島功和さん 部下からすると、1on1であっても上司・部下という上下関係のある中で行われている会話である以上、好きなように話せるわけではない。聞き役にまわるしかないと感じる以上、「自分より上司が多く話している」と感じるのではないでしょうか。
他方、上司からすると、1on1は忙しい中にその部下のために割いた特別な時間だという意識があります。そこで、部下が何かしら話していれば「部下はよく話している」と感じるのではないでしょうか。
――すごく納得できる指摘ですが、「部下の話す割合が高いほうが、部下の成長度も高くなる」とする調査結果とどうつながるのでしょうか。
児島功和さん 上司と部下の認識ギャップとの関係で説明することは難しいですが、次のように考えます。
今回調査での「成長」とは自分の仕事経験をきちんと振り返ることができ、仕事のコツをつかめるようになる、ということでした。きちんと振り返るためには、自分の言葉で話せるようになる必要があります。そして、上司は部下が自分の言葉で話せるようになるためのサポート役でいる必要があります。
1on1の場で、上司ばかりが話していても(〇〇ならこうすればよい等)、部下は仕事経験を自分の言葉で掘り下げることはできません。また、部下が話をしなければ、上司もどうフィードバックをしてよいのかわからないということがあるでしょう。このようなことから、「部下の話す割合が高いほうが部下の成長度も高くなる」ということが言えるように思います。