プロボクシングのWBC世界スーパーバンタム級1位アラン・ピカソ(メキシコ、24)が、同級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、31)との対戦を回避したことを全面否定した。
5月防衛戦はカルデナスが有力視
メキシコメディア「ESTO」(ウェブ版)が2025年3月5日に報じた。
WBCの指名挑戦者であるピカソは、井上が5月に米ラスベガスで予定している防衛戦の対戦候補に内定していたが、複数の海外ボクシング専門メディアが、ピカソ陣営が井上戦を回避したと報じた。
井上の5月の防衛戦に関して、海外メディアではすでにピカソの代替候補が挙がっており、WBA世界スーパーバンタム級2位ラモン・カルデナス(米国、29)が有力視されている。
スポーツ紙の報道によると、井上はカルデナスに関して「チェックはした。映像は見ている。以上。あとは察してほしい」と語っており、暗に対戦相手がピカソからカルデナスに変更された可能性を示唆した。
このような状況の中、ピカソは「対戦回避」を全面的に否定した。
「ESTO」の記事によると、ピカソは「5月4日に(井上の)試合があると発表されたとき、私は興奮した。でも、正式な契約書はもらっていない。私が手を引いたというニュースがどこから来たのかは知らない」と主張したという。
ピカソ「私の夢は世界チャンピオンになること」
記事では「ここ数日、5月4日にラスベガスで行われる井上の防衛戦の対戦相手として、ラモン・カルデナスの可能性が報じられている。しかし、この試合はまだ確定していないため、ピカソはこの試合が成立しなかった場合に備えて手を挙げた」とし、次のようにピカソのコメントを紹介した。
「この試合(井上対カルデナス戦)が確定しているかどうかはわからない。彼(カルデナス)との関係がどうなのかわからないし、ニュースは1週間前のものだから、正式決定なのか、そうでないのかもわからない。私の夢は世界チャンピオンになること。5月にチャンスが欲しい」
ピカソはプロ32戦31勝(17KO)1分けの戦績を誇る選手で、メキシコでは国内の世界チャンピオンと並ぶ知名度と人気を誇るという。その理由のひとつに、メキシコ最難関のUNAM(メキシコ国立自治大)の医学部に在籍していることが挙げられる。
次期世界王者を期待されるピカソだが、一方で井上との実力差を指摘する声も上がっている。
地元メディアによると、24年5月に井上と対戦し6回TKO負けを喫したルイス・ネリ(メキシコ、30)は、ピカソが井上と対戦した場合、ピカソの「大敗」を予想。元世界4階級制覇王者でメキシコの英雄エリック・モラレス氏(48)は「もっと経験を積むべき」と指摘したという。
5月の防衛戦の相手としてカルデナスが有力視される中、どのような展開が待ち受けるのか。今後の動向に注目が集まる。