日本航空(JAL)傘下の中長距離路線を結ぶ格安航空(LCC)、ZIPAIR(ジップエア)が2025年3月4日、本拠地の成田空港と米テキサス州のヒューストンを結ぶ路線を開設した。就航地点としては10都市目で、日本のLCCが米南部に就航するのは初めて。
ZIPAIRではボーイング787-8型機を使用しており、290人が乗れる。これに対して初便の乗客は129人で、搭乗率は44.5%だった。運航会社の西田真吾社長によると「戻ってくる便から1週間、ほぼ完売になっている」。日本人客は1割程度で、7割を米国人が占める。インバウンド客(訪日外国人)が増える一方で、アウトバウンド(海外旅行)の回復の遅れが影を落としている。
成田から28時間かけて往復
ヒューストンは全米で4番目に人口が多い都市で、米航空宇宙局(NASA)のジョンソン宇宙センターがあることでも知られる。エネルギー産業が盛んで、進出している日本企業も多い。
ヒューストン便は週4往復。3月29日までは、成田を10時に出発し、ヒューストンに6時45分に到着(ZG16便)。折り返し便は2時間後の8時45分にヒューストンを出て、翌日の13時50分に成田に戻ってくるスケジュールだ(ZG15便)。つまり、1往復に28時間近くかかる。
LCCは飛行機の稼働率を高めて利益を出すのが、基本的なビジネスモデルだ。往復24時間超の路線では機材運用も複雑になるが、西田氏は路線の意義を
「このオペレーションを高いレベルで確立できて、我々に自信がついたら、次はアメリカの東海岸、中部、もっと遠いところにも足を延ばせるというチャレンジになると思う」
と説明。低運賃を念頭に
「若い方に、若いうちに、ぜひ海外に行っていただきたい。アメリカの空気、アメリカの文化を感じていただきたい」
とアピールした。
「春先になってくると日本から若い人たちが海外に......という動きも」
予約状況は総じて好調で、西田氏は
「本日うちの飛行機がヒューストンに行って、戻ってくる便から1週間、ほぼ完売になっている。訪日需要の強さも感じるし、春先になってくると日本から若い人たちが海外に......という動きも出てくる」
などと話した。
西田氏によると、ヒューストン便を予約している人のうち、日本のパスポートを持つ人は「1割強」で、米国パスポートが「7割ぐらい」。残りの2割弱が「アジアや南米」だという。ZIPAIR全体では「3割日本人、7割海外の方」で、それに比べるとヒューストン便の日本人の割合は少ないが、路線の知名度が上がれば状況は変化するとみている。
「どこの線も、始まりはそんなものかなあと思っている。じょじょに『ZIPAIR、ヒューストン飛ばしてるんだ』というのが浸透してくると、収斂していくと思う」
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)