今年(2025年)の家計はゆとりができるだろうか、それとも――。
働く主婦・主夫層のホンネ調査機関「しゅふJOB総研」(東京都新宿区)が2025年2月7日に発表した「2025年の家計と収入意識調査」によると、「苦しくなりそう」と予測する人が4割以上に達し、「ゆとりができそう」という人は1割強だった。
それでも今年は明るい兆しが見えるという。家計にゆとりが出せる方法を専門家に聞いた。
本業以外で収入を増やす方法、最多は「ポイ活」
しゅふJOB総研の調査(2024年11月26日~12月8日)は、就労志向のある主婦・主夫層715人が対象。
2024年を振り返って家計の状況を聞くと、「ゆとりがあった」と答えたのは14.0%で、「苦しかった」が47.7%に【図表1】。また、2025年の家計の予測を聞くと、「ゆとりができそう」は13.4%、「苦しくなりそう」が43.5%だった【図表2】。
ただ、直近3年間の家計のゆとり予測を比較すると、「ゆとりができそう」が年々増える一方、「苦しくなりそう」が年々減少する傾向にある【図表3】。
本業以外で収入を増やす方法(複数回答可)を聞くと、「ポイントをためる」(42.0%)が最も多く、「副業(委託・請負)」(37.1%)、「中古品を売る」(35.5%)、「副業(雇用契約)」(35.1%)と続いた【図表4】。副業関連の選択肢をまとめると、約7割(69.8%)に達した。
「裕福は望まない。苦しまずに生活できる収入を知りたい」
フリーコメントを見ると、「ゆとりができそう」という人からこんな意見が相次いだ。
「昨年孫も生まれたし、楽しく明るい老後のためにはお金を大事にしなくてはという思考になり、『家計の見直し』というのを初めてやってみました。やってみて驚いたのは、今まで当たり前と思ってお金を出して、やめるなんて考えもしなかったけど、やめても意外と何とかなるものだってこと」(50代:今は働いていない)
「定年過ぎもまだ会社に残って働ける夫には感謝です。収入も贅沢しなければ十分です。来年以降も会社が望む限り稼いでほしい」(60代:SOHO/在宅ワーク)
「値上がりが続き、食費も高くなりました。育ち盛りの娘のため、娘の食費は削れないので、自分のおやつのお金や朝ごはんなどを見直し、手作りしてお金のかかりにくいものにしています」(30代:今は働いていない)
「介護離職し、現在は失業保険を受け取りながら求職活動を行っています。夫は年金と株や投資信託で収入を得ており、私も運用商品で利益を出しながら家計費を補填しています」(60代:今は働いていない)
一方、「苦しくなりそう」と答えた人からは、こんな意見が寄せられた。
「じわじわと食品や日用品など物価が高くなり、来年は子どもの受験もあるので家計が厳しくなりそうだなと感じています」(40代:パート/アルバイト)
「裕福になりたいとかではないけど、せめてこれから、最低どのくらい収入があれば苦しまずに生活できるのか、どのくらいの出費が普通なのか知りたい」(30代:フリー/自営業)
「子どもたちの年齢が上がるたびに学費や習い事費が増え、物価も高騰。反対に夫は働き方改革で残業が激減し、かなりの収入減。辛いです」(40代:派遣社員)
家計にゆとりある層・ない層の二極化が進んでいる
J-CASTニュースBiz編集部は、研究顧問として同調査を行い、雇用労働問題に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに話を聞いた。
――2024年を振り返って「家計にゆとりがあった」が約14%、「苦しかった」が約47%と苦しかった人が多いです。しかし、直近3年間の予測の比較では「苦しくなりそう」が減り、「ゆとりができそう」が増えていますね。生活は楽になっていると前向きに評価しますか、それともまだまだと厳しく評価しますか。
川上敬太郎さん 家計について、2025年は「ゆとりができそう」と回答している人の比率が過去3か年比較で最も多くなっていることについては、望ましい傾向だと思います。
しかしながら、「ゆとりができそう」と回答した人は13%に留まること、一方で「苦しくなりそう」との回答は43%とその3倍強もいることから、2025年も苦しい思いをしそうだと感じているご家庭が多いことが見てとれます。
――「ゆとりができそう」が増えているのは賃上げ効果が波及しているからでしょうか、それとも人々が家計を切りつめ節約に努めているからでしょうか。
私は家計に占める食費の割合「エンゲル係数」が、2024年は28.3%に上昇して43年ぶりの高水準だったことが気になります。エンゲル係数は高いほど貧しい状況を示す指標として用いられていますから。
川上敬太郎さん ここ数年、春闘のたびに賃上げムードが高まり、最低賃金が最高を更新し続けていることを見ても、一定の賃上げ効果は出てきているのだと思います。また、物価高が何年も続いているため、各ご家庭ではできる限り節約して、家計を切りつめる努力を続けています。それらが、家計のゆとりにポジティブな影響を着実に及ぼしていると思います。
一方、調査結果では、家計にゆとりがあった人は引き続きゆとりができそうと感じている人が多い。一方で、家計が苦しかった人は引き続き苦しくなりそうと感じている人が多いという、二極化の傾向が見られます。
エンゲル係数が上がっているというご指摘の通り、お米などの食料品や光熱費を筆頭に、生活に欠かせないものの値上がりは、日々の生活に苦しんでいる人をさらに厳しい状況へと追い込んでいると感じます。
<今年の家計「苦しくなりそう」4割、「ゆとりができそう」1割 専門家が語る「ゆとり派になる方法」(2)>に続きます。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)