家計にゆとりある層・ない層の二極化が進んでいる
J-CASTニュースBiz編集部は、研究顧問として同調査を行い、雇用労働問題に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに話を聞いた。
――2024年を振り返って「家計にゆとりがあった」が約14%、「苦しかった」が約47%と苦しかった人が多いです。しかし、直近3年間の予測の比較では「苦しくなりそう」が減り、「ゆとりができそう」が増えていますね。生活は楽になっていると前向きに評価しますか、それともまだまだと厳しく評価しますか。
川上敬太郎さん 家計について、2025年は「ゆとりができそう」と回答している人の比率が過去3か年比較で最も多くなっていることについては、望ましい傾向だと思います。
しかしながら、「ゆとりができそう」と回答した人は13%に留まること、一方で「苦しくなりそう」との回答は43%とその3倍強もいることから、2025年も苦しい思いをしそうだと感じているご家庭が多いことが見てとれます。
――「ゆとりができそう」が増えているのは賃上げ効果が波及しているからでしょうか、それとも人々が家計を切りつめ節約に努めているからでしょうか。
私は家計に占める食費の割合「エンゲル係数」が、2024年は28.3%に上昇して43年ぶりの高水準だったことが気になります。エンゲル係数は高いほど貧しい状況を示す指標として用いられていますから。
川上敬太郎さん ここ数年、春闘のたびに賃上げムードが高まり、最低賃金が最高を更新し続けていることを見ても、一定の賃上げ効果は出てきているのだと思います。また、物価高が何年も続いているため、各ご家庭ではできる限り節約して、家計を切りつめる努力を続けています。それらが、家計のゆとりにポジティブな影響を着実に及ぼしていると思います。
一方、調査結果では、家計にゆとりがあった人は引き続きゆとりができそうと感じている人が多い。一方で、家計が苦しかった人は引き続き苦しくなりそうと感じている人が多いという、二極化の傾向が見られます。
エンゲル係数が上がっているというご指摘の通り、お米などの食料品や光熱費を筆頭に、生活に欠かせないものの値上がりは、日々の生活に苦しんでいる人をさらに厳しい状況へと追い込んでいると感じます。
<今年の家計「苦しくなりそう」4割、「ゆとりができそう」1割 専門家が語る「ゆとり派になる方法」(2)>に続きます。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)