マンションの自宅玄関前に自転車を置いた これが共用スペースのトラブルのもとになる

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   私が住むマンションの掲示板に「喫煙」に関する注意書きが張り出されていた。バルコニーや共用廊下での喫煙が上階や近隣に迷惑をかけているから、たばこを控えよ、という内容だ。卑近な例だが、こうしたマンション共用部分のトラブルは少なくない。共用部分はマンションの住人が共同で使用するエリアであり、快適な暮らしを送るためには住人全員が節度を守る必要がある。守るべきマナーと、トラブルの対応策を紹介する。

  • みんなが使うから節度を守る必要がある
    みんなが使うから節度を守る必要がある
  • 画像はAlbaLinkのプレスリリースより
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最多のトラブルが「私物が置かれている」

   マンションの三大トラブルといえば、「生活騒音」「無断駐車」「ペット」である。国土交通省の2023年度マンション総合調査によると、最も多いトラブルが「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」60.5%だった。このうち、最多を占めた具体的なトラブルが「生活音」43.6%で、これに「違法駐車」18.2%、「ペット飼育」14.2%が続き、三大トラブルの座は揺るがなかった。以下は「共用廊下等への私物の放置」13.9%、「バルコニーの使用方法」11.9%だった。詳細は不明だが、いずれも廊下や、エレベーター、ごみ置き場、駐車場、駐輪場などの共用部分で起きていてもおかしくないトラブルである。

   それを裏付けるのが、2024年末年始に不動産会社AlbaLink(東京)がマンションの住民270人を対象に実施した「マンションの共有スペースでのトラブルに関する意識調査(インターネット)」の結果である。最多のトラブルが「私物が置かれている」21.9%で、続いて(2)騒音がひどい21.1%(3)子どもが遊ぶ17.4%(4)喫煙する14.1%(5)ゴミのポイ捨て9.6%(6)ゴミ出しルールを守らない7.8%(7)無断駐車する4.8%――の順だった。

   置かれている私物に関しては、子育て世代が多いマンションであれば、ベビーカーや、自転車、遊び道具などの玄関前の放置が目につく。廊下や階段は地震や火災など緊急時の避難経路のため、管理規約で私物を置くのを禁止している。しかし、「たむろしている学生がうるさい」などの声があった「騒音がひどい」や、「子どもが遊ぶ」については個々人の受け止め方、許容度もあり、明確なルール違反とはいえないのが悩ましいところだ。

注意! ベランダは避難通路にもなる

   居住者の専有部分と誤りがちな共用部分として、ベランダ、バルコニー、専用庭があるのも理解しておきたい。ベランダなどは居住者(区分所有者)に専用使用権が設定されてはいるものの、専有部分には含まれていない。緊急時の避難経路にもなるため、避難を妨げる利用は避ける必要がある。

   先のAlbaLink調査で「守ってほしいルール・マナー」を尋ねたところ、「騒音を出さない」が38.9%を占め、以下は(2)共有スペースを汚さない15.2%(3)ゴミ出しルールを守る11.9%(4)私物を置かない11.5%(5)喫煙しない8.9%――だった。快適な生活を過ごすうえで「騒音」を最重視しているといえるのかもしれない。

   マンションには多様な人が住んでおり、必ずしも一般的な常識が通じないケースも多いため、居住者同士での注意はしづらい。けんかになって、大きなトラブルが起きる恐れがある。できれば管理組合、もしくは管理会社が中心となり、掲示や回覧を通じて居住者に呼びかけていくのが良いだろう。共用部分の維持管理に関するルールを明文化する作業も並行して進めるのも重要となる。

(フリーライター 倉井建太)

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