天気予報の花粉情報は精度がどんどん上がっている 顕微鏡で数える、観測機の導入とあの手この手

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   「夕焼けは晴」「つばめが低く飛ぶと雨」。昔の人は長年の経験から、そんな天気のことわざを生み出した。現代の天気予報は気象観測データをコンピューターで解析する。もちろん、当たり外れはある。

   気象庁は各地の予報精度を検証している。たとえば東京地方の降水をめぐる適中率は1990年ごろ、80%台の前半だった。近年は80%台後半で90%に近づきつつある。全国平均は83%とされている。

  • 適中率は90%に近づいている
    適中率は90%に近づいている
  • 適中率は90%に近づいている

天気予報の自由化で花粉情報も充実してきた

   その土台になっているのはコンピューターの「数値予報モデル」だ。地球を格子状に区切り、マスごとに大気の観測データを集める。スーパーコンピューターで解析し、天気図を作る。さらに予報官の「知識と経験」を反映させて予報が決まる。コンピューターの性能アップや予報官の「知」の蓄積が、これからも適中率を高めていきそうだ。

   天気予報は、ひと昔前まで気象庁だけが発表していた。しかし1990年代の「天気予報の自由化」で民間が参入。データの集め方や予報モデルに工夫をこらし、適中率やサービスの内容を競っている。冬から春にかけての売りものは、花粉症対策に欠かせない花粉情報だ。

   一般財団法人「日本気象協会」は「ダーラム法」という方法で長年、花粉の飛散状況を確認している。ワセリンを塗ったスライドガラスを屋外に1日置き、付着した花粉を人が顕微鏡で数える。「担当者は大変だが、精度がとても高い方法」だという。気象データや花芽の現地調査などもふまえて飛散を予測する。

気象協会の予測、花粉のピークは3月上旬から

   日本気象協会の2025年春の花粉飛散予測(第4報)(2月19日発表)によると、

・飛散開始は九州から関東の広い範囲で例年並みか遅い。長引く寒波が影響。
・スギ花粉は2月末から急増。多くの地点で3月上旬からピークを迎える。
・飛散量は広い範囲で例年より多く、四国・近畿は例年の2倍以上の所も。

となっている。

   一方、気象予報会社「ウェザーニューズ」は、独自の花粉観測機「ポールンロボ」を全国1000か所に設置している。直径15cmの球体で、空気を吸い込み、それに含まれる花粉をセンサーで見分けて自動観測する。現在のポールンロボは8代目で通信機能を内蔵し、リアルタイムで飛散状況をつかめる。「きめ細やかな情報提供が可能になり、予報精度も格段に向上した」という。

   ウェザーニューズ 第四回花粉飛散予想(2月18日発表)では、関東や九州など1都19県で花粉シーズン開始、来週以降は西・東日本の広範囲で飛散開始、西・東日本ではスギ花粉の飛散開始後すぐに本格化、3月下旬からはヒノキ花粉が増加、飛散量は西・東日本で平年を上回る予想、西日本は過去10年で最多に匹敵するおそれ、とある。

   空模様だけでなく、災害から命を守るためにも「よく当たる」天気予報への期待は大きい。

(ジャーナリスト 橋本聡)

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