未経験分野に転職する人が20代、花粉症のプレッシャーが大きい
――転職活動者の花粉症は20代が約7割と最も多く、「花粉症が転職活動に影響する割合」も20代が半数以上で最も高いです。20代は転職が一番活発な年代ですから、「もう1つの敵」とも戦わなくてはならないわけですね。
朝比奈あかりさん 環境省の「花粉症環境保健マニュアル2022」をみると、花粉症の年齢別有病率(スギ花粉症+スギ以外の花粉症)は10代がもっとも高く、次いで20代となっています。今回の調査は20~50代の正社員に聞いていますから、似た傾向が出ているのではないかと推察しています。
20代が花粉症の影響を受ける割合が高いのは、20代の転職の特徴が関係している可能性があります。マイナビが行っている最新の転職動向調査では、20代は未経験の業種・職種に転職する割合がほかの年代より高い。
経験を活かした転職なら、面接時に過去の経験や実績を話せばよいですが、未経験転職では、過去の経験だけでなく、未経験の業種・職種にチャレンジできるポテンシャルを強くアピールする必要があります。
つまり、コミュニケーション力や、受け答えの明瞭さなどをアピールしたいと思ったとき、花粉症による目のかゆみや鼻炎、くしゃみなどは悪影響となってしまう可能性が高いのではないでしょうか。
――なるほど。未経験の業種・職種への転職では「面接力」が大いに影響するから、逆に花粉症をもっているとプレッシャーになってしまうわけですね。ところで、花粉症対策を実施している企業が6割という結果はどう評価しますか。
朝比奈あかりさん 過半数の企業が対策を取っていることから、花粉症が与える業務への影響の大きさがうかがえました。政府も2023年に、「発症等対策」「発生源対策」「飛散対策」の花粉症対策3本柱を発表しています。花粉症は社会問題として注視されているため、今後も企業の対応が求められていくと考えられます。
しかし、対策内容が不十分だと、「花粉症による業務への影響を緩和する」という根本的な解決につながらないのではないかと考えられます。