オンラインカジノをして警視庁の事情聴取を受けたとして謝罪した人気お笑いコンビ、令和ロマンの高比良くるまさんが、2025年2月19日から当面、芸能活動を自粛すると自身のSNSで発表した。活動自粛はさぞかし無念だろう。
オンラインカジノは「国内において行われている」と解釈→違法に
現時点での法的な整理は、警察庁のサイトを見ればすぐ分かる。そこには、「オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です!」というタイトルの下に、「オンラインカジノ 国内ではオンラインカジノに接続して賭博を行うことは犯罪です。「知らなかった」では済みません!」とある。
刑法は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用される(刑法1条)。これは、「属地主義」(国内で犯された犯罪に対しては行為者の国籍を問わず自国の刑法を適用する)という考え方だ。
そこで、日本人が海外旅行の際に、海外のカジノにおいてプレー(賭け)をする行為は明らかに賭博行為なのだが、属地主義により現地で合法ならば、日本の刑法違反にならない。
しかし、オンラインカジノは「国内において行われている」と解釈され、オンラインカジノに接続すれば違法になるわけだ。
国内では公営ギャンブルは合法、そのオンラインも適法
ネット上には、有名人が広告に出て、無料のオンラインカジノに誘うものもある。進めると有料になるので注意が必要である。カネを払えば違法になるので要注意だ。
一方、国内でも、公営ギャンブルは合法だ。そのオンラインも適法だ。パチンコは、ギャンブルとされていないが合法だ。合法と違法は、役所が関与しているかいないかの差だ。役所が関与する理由は、そうしないと暴力団などが関わるので、役所のほうがまだマシというロジックだ。
宝くじは総務省、競馬は農水省、ボートレースは国交省、競輪・オートレースは経産省、スポーツ振興くじは文科省、パチンコは警察が関わっている。
まもなくIR(統合型リゾート)で日本国内でもカジノが合法ギャンブルとなる。そのオンラインも当然合法だ。国内カジノはどこの官庁が管轄するのか。これは形式的には内閣府とされているが、事実上の主導権をどこの省庁が握るのかはまだわからない。
国内カジノで一番割を食うのはパチンコだ。となると、国内カジノは官僚のサガとして警察が管轄したくなるはずだ。
こうした事情もあって、警察が海外カジノのオンライン接続に躍起になっていると考えたら、邪推だろうか。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。