「キムリア」で炎上の石破首相、原因は「切り取り」報道なのか 東京新聞は反撃「答弁を全文掲載」

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   高額療養費制度の問題をめぐり、石破茂首相が新聞の「切り取り」報道を指摘する場面があった。立憲民主党の岡本章子衆院議員が2025年2月26日の衆院予算委員会で、石破氏が特定の薬剤を挙げて答弁したことについて、発言を報じた東京新聞の記事をパネルにして取り上げ発言の撤回を求めた。

   石破氏はこれに「切り取り」だと反論。東京新聞は同日、公式サイトを通じて「石破首相が『切り取り』だというので...高額治療薬『名指し』した衆院予算委員会の答弁を全文掲載します」との記事を掲載し、「反撃」している。

  • 衆院予算委で答弁する石破茂首相(写真:つのだよしお/アフロ)
    衆院予算委で答弁する石破茂首相(写真:つのだよしお/アフロ)
  • 「キムリア」製品画像(投与バッグ)。白血病などへの効果が期待できる(ノバルティス ファーマ株式会社提供)
    「キムリア」製品画像(投与バッグ)。白血病などへの効果が期待できる(ノバルティス ファーマ株式会社提供)
  • 衆院予算委で答弁する石破茂首相(写真:つのだよしお/アフロ)
  • 「キムリア」製品画像(投与バッグ)。白血病などへの効果が期待できる(ノバルティス ファーマ株式会社提供)

「人が死んでもいいとか、そんなことは夢さら思っておりません」

   石破氏は21日の衆院予算委員会で、「人が死んでもいいとか、そんなことは夢さら思っておりません。『受診を抑制しなければならない』とか、そういうような方が出ないために政府として最大限考えております」と前置きをした上で、「一方で、せっかくですから申し上げておきますが」としてがん免疫治療薬「オプジーボ」や白血病などの点滴薬「キムリア」といった具体的な薬剤を挙げて、高額な薬剤が財政を圧迫していることを説明した。

   石破氏は「いかにして負担を減らすかということと、制度をどうやって持続可能なものにするかということの、ギリギリの接点が今回の結論でございます」とも話した。

   石破氏の発言は、東京新聞が「石破首相、がんや白血病の治療薬を『名指し』して医療費逼迫を強調 患者側から『薬を使う患者を傷つけた』の声」の見出しでウェブサイトで報じ、批判の声が上がっていた。

「ですから、『切り取り』というのはこういうことであってね」

   26日の衆院予算委員会では、岡本氏が東京新聞の記事を印刷したパネルを手に、「今日『全がん連(一般社団法人全国がん患者団体連合会)』の轟(浩美)理事もいらっしゃいますが、記事にこの轟理事が『負担上限額が引き上げられるのはキムリアやオプチーボを使っている患者がいるからだ、と思う人もいるんじゃないか』(と懸念している)。ネット上でもすごく批判の声が上がっています」と指摘。その上で、石破氏に対して21日の発言の撤回を求めた。

   石破氏は東京新聞の報道について「ですから、『切り取り』というのはこういうことであってね」と反発し、「私はキムリアとかオプチーボがあるから(といった)、そういうことに責任を押し付けるような気は全くありません」と、岡本氏の解釈を否定した。

「逆に捉えるというのは、それは考え方がおかしくないですか?」

「『受診を抑制しなければならない』とかそういう方が出ないために、政府として最大限考えてます。こういう高額の医療費、薬、これから先も使えるようにどうしますかと。制度としてどう仕組みますか、ということを申し上げているのであって。それを逆に捉えるというのは、それは考え方がおかしくないですか?」

   東京新聞の初報では、具体的な薬剤名を挙げた説明の直前に石破氏が語っていた受診抑制を防ぐ必要性に関する発言については言及がなかった。

   岡本氏は、石破氏の答弁を受け「ネットでがん患者当事者の方がそうは受け取らずに、やっぱり『私たちのせいで治療費が上がった』という反応になっているという事実は受け止めていただきたいと思います」とした。

   石破氏に「切り取り」とされた東京新聞は同日、ウェブサイトに、問題となっている石破氏の答弁全文を公開した。記事は会員向け記事だが、無料会員でも読むことができる。

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