自宅は「最も集中して作業できる場所」
調査結果で、自宅勤務を行っている人の「満足度」や「効率化」が右肩上がりになっていることについて、自宅勤務組にそのような働き方のペースが定着したからだろうと推測する。
「自宅勤務はサボる人がいるとか、生活のペースが乱れるとかいう意見もありますが、申し訳ないですけどそういう人は、この5年で淘汰されてしまったのではないでしょうか。実際、孤独感を募らせて退職した独身者もいたのですが、残っている人たちは自宅でかなり集中して仕事をしていると思いますよ」
例えば出社すれば、会議室に移動する時間も必要だったが、自宅であれば席についたままビデオ会議を次々とこなすことができる。
「出社していたころを思い出すと、同僚と仕事と関係ない話をしたり自販機にコーヒーを買いに行ったりと、けっこう遊びの時間がありましたよね。いまはビデオ会議が詰まっていると、ランチやトイレにすら行けない日もあります」
自宅勤務の環境も「改善が二周目くらい」になっていて、モニターやウェブカメラ、ヘッドフォンはもちろん、イスも買い替えた。こうなると「出社の理由」がなくなってくる。
「まず、会社のオフィスは、自宅よりも『集中して作業できる場所』になっていない。設備もそうですし、電話がかかってこないとか、同僚が話しかけてこないとか。そう考えると、自宅の方が『集中できる場所』になり、出社によってかえって生産性が下がることになります」
とはいえ、仕事には作業だけでなく、上司や同僚とのコミュニケーションも必要だ。この点についてもAさんは「仕事を成果で管理できない管理職が、意味もなく社員を出社させる口実でしかない」と冷ややかに見ている。