通院のハードルがかなり下がり、自分で解決しようと思う
――病院の通院経験者が多いことも心配です。若手社員が通院するほど悩んでいることを会社や上司は知っているのでしょうか。なぜ、通院の前に上司や同僚に相談しないのでしょうか。大企業などでは医務室や産業医がいるところが多いですが、そういう所には相談しないのでしょうか。
金本麻里さん 通院については、近年ハードルがかなり下がったため、今回の調査でも、メンタルヘルス不調者全体の49%が医療またはカウンセリングを受診していました。20代でも43%が受診しています。入院施設などがないいわゆるメンタルクリニックが多いのではないかと思います。
それに対し、職場に相談した20代の割合は、上司・同僚・人事・専用の相談窓口などすべて合わせて44%とほぼ同数です。職場には言わずに医療受診をして自分で解決しようとしている人は、医療受診者の4割にのぼることがわかっています。
職場に言わない理由は先ほど説明したようなことが影響していると考えられ、早急に解消が必要だと思います。
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(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)
【プロフィール】
金本 麻里(かねもと・まり)
パーソル総合研究所シンクタンク本部研究員
東京大学大学院総合文化研究科修了。総合コンサルティングファームに勤務後、人・組織に対する興味・関心から人事サービス提供会社に転職。適性検査やストレスチェックの開発・分析報告業務に従事。調査・研究活動を通じて、人・組織に関する社会課題解決の一翼を担いたいと考え、2020年1月より現職。
専門分野:職場のメンタルヘルス、アセスメント・サーベイ開発、障害者雇用。産業カウンセラー、日本感情心理学会所属
主なリポートに「職場の精神障害のある人へのナチュラルサポートの必要性 ~受け入れ成功職場の上司・同僚の特徴から~」「ミドル・シニア就業者の趣味の学習実態と学び直しへの活用法」「ハラスメント被害者の泣き寝入りと離職の実態」「仕事における幸福(Well-being)の状況~世界各国の『はたらいて、笑おう。』調査データから見る~」など。