那須川天心、前世界王者モロニーに「快勝」 最大「6ポイント差」採点は妥当だったのか?識者が解説

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    プロボクシングのWBOアジアパシフィックバンタム級王者・那須川天心(帝拳、26)が2025年2月24日、東京・有明アリーナで前WBO世界バンタム級王者ジェイソン・モロニー(オーストラリア、34)を相手にノンタイル10回戦を行い、3-0の判定勝利を飾った。

  • モロニーを攻撃する那須川(写真:AP/アフロ)
    モロニーを攻撃する那須川(写真:AP/アフロ)
  • モロニーを攻撃する那須川(写真:AP/アフロ)

那須川は6回にあわやダウンのピンチ

    キックボクシングからボクシングに転向して6戦目で、前世界王者を撃破。採点は、ひとりのジャッジが98-92の6ポイント差をつける「完勝」だった。

    モロニー戦は、ジャッジの採点を含めてインターネット上で大きな話題に。多くの世界王者を育てたTMKジムの金平桂一郎会長(59)は、モロニー戦をどう見たのか。J-CAST編集部は、金平会長の見解を聞いた。

    試合は、初回からモロニーが積極的に攻め込み、那須川がこれを受けて立つ展開に。スピードで上回る那須川は、右ジャブ、左ストレートを顔面に打ち込みポイントを重ねていった。対するモロニーは、力強い右ストレートで応戦した。

    試合が大きく動いたのが6回だ。

    モロニーの右が那須川のアゴをとらえ、那須川はバランスを大きく崩してあわやダウンのピンチ。なんとか踏ん張りダウンこそ逃れたが、ダメージは明らかだった。

    7回の序盤は、ダメージが残っている様子だったが、徐々に回復していった。波に乗るモロニーは、8回以降も攻勢に出て、那須川はカウンターで応戦。両者、最後まで手数を出し続け、試合は判定にもつれ込んだ。

    採点は、2人のジャッジが97-93、残りのひとりが98-92で那須川を支持した。

    インターネット上では、那須川があわやダウンのピンチがあったことなどから、接戦だったとみるファンも多く、6ポイント差の採点が大きな話題となった。Xでは、那須川関連のワードがトレンド入りした。

「6ポイント差が絶対ないかといえば、絶対なくはない」

    テレビ観戦した金平会長は「那須川選手の勝ちは間違いないと思います」と切り出し、話題となった採点に言及した。

    「モロニー選手が出てくるところを那須川選手がうまくさばいた。危ないパンチを多少もらっていたが、ジャッジが『さばく』というところに主眼を置くと、あのような採点も出てくる。足を使ってジャブを突いて、相手をコントロールしているように見えるボクシングに、ジャッジの力点が置かれたのでしょう」

    そして、ここ最近のジャッジの傾向に言及し、次のように説明した。

    「昔であれば、手を出して前進すると有効点が与えられたが、ここ10年くらいの傾向でいえば、さばいている選手に採点が寄っている。那須川選手だからいい点を付けたというよりも、その傾向がより強く出た結果だと思います。欧米ではすでにこのような傾向が定着しており、それが日本にも浸透し、試合によってはその傾向がより強く出る時がある。個人的にはもう少し接近しているように見えたが、6ポイント差が絶対ないかといえば、絶対なくはないと言えるでしょう」

    KO勝利こそ逃したが、前世界王者に対する勝利で、世界ランキングの上昇が見込まれる。スポーツ紙の報道によると、年内にもバンタム級で世界タイトル戦の可能性があるという。金平会長は、モロニー戦を振り返りながら、那須川の世界タイトル戦について、こう語った。

    「モロニー戦は、自分のペースでやりきったことがよかった。これが12ラウンドだったら勝負は分からなかったかもしれない。那須川選手は序盤からすごい集中力で戦っていたので、終盤に少し集中力が落ちていた。それでもやりきった感があった。これも経験。モロニー戦を見た限りでは、世界タイトル戦には、もう少し時間が必要かもしれません」

    23年4月のボクシング転向以来、6連勝(2KO)を飾った那須川。世界主要4団体のバンタム級王者はすべて日本人選手ということもあり、那須川の今後に大きな注目が集まる。

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