兵庫県姫路市の名物「えきそば」の豪華版が、大阪・関西万博に出す店舗で税込3850円で販売される予定になったが、高過ぎるのではないかといった声がネット上で相次いでいる。
インバウンド客向けの価格だとして、えきそばではなくなるのではないかとの指摘もあった。販売元のまねき食品は、「神戸牛の肩ロースを使いましたので、利益がなく赤字に近い価格です。世界に向けて発信しましたが、日本のお客様にも召しあがっていただければ」と話している。
「駅そばのコンセプトの否定」と言った声も
すき焼き風の神戸牛と温泉卵がそばの上に乗り、三つ葉が風情を添える。料亭で出されてもおかしくない贅沢な一品だ。
とはいえ、使われているそばは、お馴染みの中華麺となっており、「究極のえきそば」と名付けられている。
この商品は、まねき食品が2025年1月14日、同年4月に開幕する万博に店を出して提供すると公式サイトなどで発表した。伝統の和風だしをベースにホタテやハマグリのエキスも加え、店では、被災地支援のため、輪島塗の漆器で提供するとした。
公式サイトによると、同社は、明治時代の1888年にJR姫路駅近くで開いた茶店からスタートし、翌年の山陽鉄道開通から駅弁の販売を始めた。姫路市民のソウルフードとして親しまれる名物「えきそば」は、昭和に入って1949年に姫路駅で売り出して人気となり、75周年を迎えた。通常のえきそばは現在、税込480円で販売されている。
発表では、究極のえきそばは、「今までに食べたことのない史上最強で最美味の究極のえきそば」と銘打っている。
このえきそばについて、2月中ごろにX上などでネットニュースの記事が取り上げられ、様々な意見が出るようになった。
「えきそばも出世したなあ」「美味そうやん」と好意的に見る声が出たが、観光地のインバウンド価格が話題になっていることから、それらと比較された。「これは何か違う気が...」「駅そばのコンセプトの否定」「外国の方に誤った印象を与えてしまう」などと疑問や批判も書き込まれている。
「世界に発信したが、日本のお客様も召し上がって」
まねき食品の公式Xにも、方向性を見失っていて、えきそばではなくなるといった意見が寄せられ、同社は2月19日、この意見について釈明した。
「率直なご感想、大変参考になります」と感謝の意を伝えたうえで、「万博という特別な機会に合わせ、食文化の魅力を伝えることを目的に開発いたしました」と趣旨を説明した。その一方で、「通常のえきそばと異なる特別商品ではございますが、お客様のご期待とギャップについて、真摯に受け止めてまいります」との考えを伝えた。
万博で出す究極のえきそばについて、まねき食品の広報担当者は25日、J-CASTニュースの取材に対し、輪島塗の器は提供せず価格に含まれていないが、神戸牛の肩ロースをメインに使ったため3850円の予定になったと説明した。
「名物商品を究極にバージョンアップしたもので、利益はなく赤字に近い価格です。挑戦の意味が大きいと考えています。世界に向けて発信したいと企画しましたが、日本のお客様にも召し上がっていただければと思っています。輪島塗の器はオーダーしており、復興への支援のため作っていただきました」
究極のえきそばは、万博期間中に1日50~100食の売り上げを目指している。万博限定の商品で、その後の展開については、まだ検討していないという。
えきそばと言えば、天ぷらえきそばがメインとなり、きつねえきそばもある。ただ、万博では、これらの単品は提供されず、天ぷらえきそばとビーフカレーのセット、海老天えきそばが提供される予定だという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)