ショート動画の台頭で苦戦
このような「視聴回数〇〇万回達成」や「〇〇万ダウンロード突破」という内容のプレスリリースは、UUUMの株価が最高値に達した2019年頃まで多く配信されている。
では、昨年(2024年)はどうだったか。
2024年にUUUMがPR TIMESで配信したプレスリリースは82件。なお、2019年は56件だった。2024年のプレスリリースで目立つのはセミナーの予定や他業種の企業とのコラボ企画、社会活動への参加を伝えるもの。「UUUM単独で前例のない記録を達成した」というトーンのプレスリリースは、ほとんど配信されていない。
青鬼シリーズは以前と変わらず人気であるものの、かつてのHIKAKIN氏やはじめしゃちょー氏を凌駕するようなスターがUUUMから登場しているとは言いがたい。
たとえるならば、1950年代半ばまでのプロ野球巨人軍のスターは、川上哲治や千葉茂だった。彼らが引退すると、直後に長嶋茂雄と王貞治が登場し、栄光のV9時代を呼び寄せた。そんなONがバットを置くと、今度は「野球の天才」原辰徳が登場し、巨人の人気を支え続けた――。そうした絶え間ないスターの継承がUUUMではどうだったか。
UUUMの失速の最大要因として、「ショート動画の台頭」がよく言及される。
東証グロース市場への上場を実現させた頃のUUUMは、「より長い動画の配信」を目指していた。YouTubeの場合、尺の長い動画であればあるほど広告を多く挟むことができ、それが巨大な収益につながる。
しかし、今流行っているのは「より短い動画」だ。
ショート動画はスマホの持ち位置を変えずに、まるで回転寿司のような感覚で動画を次々に視聴することができる。だが、これは動画配信者にとっては、広告収益の大幅低下を意味している。
HIKAKIN氏やはじめしゃちょー氏を凌駕するYouTuberが登場しなかったのは、このようなショート動画の台頭も多分に影響しているのだろう。(澤田真一)