「薬不足」ずっと続いたまま今も ジェネリック薬メーカーが急に増産できない事情

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   ジェネリック医薬品(後発薬)メーカーの不祥事に端を発した医薬品不足は今なお、収束の兆しさえ見えない。国民の生命と健康にかかわる必要不可欠な医薬品が、長期にわたった不足しているのは国家的な重要課題といえる。需要増に柔軟に対応できない業界の構造的な問題を解消するため、ようやく政府も重い腰を上げた。

  • 改善しない医薬品の供給状況
    改善しない医薬品の供給状況
  • 改善しない医薬品の供給状況

政府は後発薬を後押ししてきた

   2025年に入っても、医薬品の供給状況は改善していない。日本製薬団体連合会が同年2月に発表した調査結果によると、全医薬品の中で「出荷調整」や「供給停止」の医薬品が2割あり、うち約6割を占めるのが後発薬である。

   発端は2020年12月、水虫治療薬(後発薬)に睡眠導入剤が混入していた事件。健康被害の報告は200件を超え、2人が亡くなった。その後、他の企業でも成分混入や試験データ改ざんなど、不正が次々と発覚し、業務停止処分が相次いだため、医薬品不足が加速度的に広がった。

   ある製品が出荷停止になったのなら、別の企業が生産して補えば良いのだが、事はそう簡単ではない。新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に製造される後発薬は、開発費が少なく済むため、先発薬に比べて薬価が低い。医療費を抑制したい政府は、後発薬使用を後押ししてきた。後発薬の共同開発を可能とした05年の改正薬事法(現薬機法)を機に多くの企業が参入した結果、後発薬の数量シェアは昨年3月時点で82.75%(厚生労働省調べ)まで伸びた。

   後発薬メーカーは現在、180社以上ある。大半が小規模な企業で、1社当たりのシェアが低いうえ、製造量も少ない。利益を得るために新たな薬の製造を次々と受託してきた。日本ジェネリック製薬協会は「一つの生産ラインで何種類もの薬が時間差で生産されており、どの生産ラインで、どの薬をどれだけ作るのかは長期的なスケジュールで決まっていて、特定の薬が不足しているからと言って、急に増産することができない」と説明する。この「多品種少量生産」の構造が、需要の変化に応じた安定供給の道を阻んでいる。

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